結論にかえて、ゆるい未来のイメージ

少しリミットオーバ。とはいえ締めのテキストを手短かにではあるが記しておきたい。

「建築の切断面をたくさん見つけてみる事」と一回目にRADの活動の目的について記した。今回紹介したいくつかのプロジェクトはまさにそのような切断面をつくりだすために行なわれたものだ。この切断面をつくりだす行為をフレームワークと名付けてみる。つまり展覧会、インタビュー、リサーチ、アーバンプロジェクトなどのフレームを当てはめることで見えてくる「建築」のあり方をそのディテールとともに記録していく。それがRADの今のところの活動だ。そうして、様々な建築の居場所を暴きだし、その社会への、文学への、接続を試みる。接続というよりもその場においての建築という問題系をとらえる問う事かもしれない。そうやって、少しずつ建築が今いるところから自由に思考していく事ができるような状況が生まれていけばいいと思っている。(建築そのものも社会のひとつの大きなフレームだ。だからこそこのフレームにがどのようなものかという思考も必要になると思う。)

さて今後、このRADというプロジェクト/活動はどこに行き着くのだろうか。もしビジョンというものが(個人的に)あるとすれば、おぼろげながらに浮かんでいるのは、「建築センター」をつくりたいという事になるかもしれない。「建築センター」を日本でつくりたい。この建築センターとは何かといわれたら、海外にある魅力的なプログラムを実施している建築センター(Center for Architecture)をみてみるしか手がかりはない。たとえばNYのStorefront Art and Architecture。またCanadian Center for Architectureも、広く市民に向けた展示、教育、リサーチ、出版などの活動が融合した世界的にも有名なセンターだろう。もしくはART CENTERの建築バージョン。資料の保存や収集、学術的な成果の蓄積を目的とするのではなく、現在的な都市や空間的な問題について、様々なフレームワークによって建築の関わり方を見いだしていくプログラムを常にオープンに行なっている施設。そんな施設があればその街に、建築からたくさんの貢献ができるのではないだろうか。そうやって、あまりにも普通の街の建物や人々と離ればなれになってしまった関係を更新していけたらと思っている。radlab.というスペースでの活動は、すでに建築センターの実験的実践であって欲しいと願っている。

最後駆け足的にはなってしまいましたが、おつきあいありがとうございました。

ブロガー:川勝真一
2011年12月3日 / 01:58

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