2019年09月15日号
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フォーカス

東京のアートフェアはどこへいく?

住吉智恵

2009年04月15日号

 世界的な経済不安のなか、東京で開催された大小2つのアートフェア。個々のギャラリーに話を聞いたわけではないし、売上の詳細も知らないので、これは個人的な印象に過ぎない。いずれの会場にも「どうなのいったいアートの行方は?」というシリアスさが隅々まで満ちていた。筆者自身もこんなご時勢に、今春から無名の新人を本格的にプロデュースしていく覚悟を決めたばかりで、他人事ではない立場。いつになく真剣に観てしまった。

ワンマンショウという方法

 まずはNICAFから転身、今年で4回目を迎える「アートフェア東京」。老舗画廊や古美術商も参加するだけあって、例年ほどではないが賑々しい雰囲気は変わらない。今年から、これまで諸条件から出展するにはハードルがキツかった開業5年未満の若いギャラリーを集めた「TOKIA」というスペースが設けられた。さらにワンマンショウ形式で展示した場合、5万円ほど出展料が安くなるというルールも。たしかに小さいブースで何人もの作家をゴテッと見せるフェアの展示(陳列?)は、もともと農畜産物の見本市や古物の蚤の市を原型とする商業的なお祭りならではの、少々殺伐とした光景。とくにアート初心者にとっては、作品の表現する世界は伝わりにくい。なので新しいコレクター層の開拓を目的とするなら、ギャラリーの色を出せるワンマンショウは見応えという意味でも効果的だ。
 海外のフェア参加歴も多く、当初から出品点数の少ないワンマンショウを好み、クールでノンシャランな姿勢を特色としてきたTaka Ishii Galleryの石井孝之氏は語る。「複数の作家の小さい作品を1、2点展示するよりは、1人の作家に絞り、将来性を優先したほうがいい。桜の季節は他の国でアートイベントのない時期でもあり、海外のコレクターも日本に来やすい。もっと利用してもいいくらいでしょう」。さらに彼は「この時期に合わせてサテライトで写真のフェアをやってもいい」という。たしかに世界で賞賛を集める写真家を数多く輩出してきた日本ならではの写真のアートフェアであれば、この数年パリで開催されている「PARIS PHOTO」を凌ぐ充実度になる可能性はありそうだ。


アートフェア東京2009会場風景
©アートフェア東京

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