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【台湾・屏東】「母なる島」の現在(いま)を生きる──第1回台湾国際オーストロネシアン・アート・トリエンナーレ
[2024年02月01日号(岩切澪)]
近年、台湾原住民族 ★1 による現代アートが、これまでになく注目を集めている。毎年のように内外の有名美術館や大型国際展 ★2 、芸術祭やアートフェアに登場し、2021年には「第10回アジア・パシフィック・トリエンナーレ(APT10)」(ブリ...
距離の問題──「風景論以後」展、山形国際ドキュメンタリー映画祭2023から
[2024年01月15日号(阪本裕文)]
近年の国際映画祭のストリーミング配信を見続けていると、ある風景や場所に付随する社会性・歴史性を主題とした映画に少なからず出会う。このような映画は、実験的なドキュメンタリーや実験映画の文脈に位置付けられていることが多い。それらは何の変哲もない...
【ウィーン】3組のアーティストに見る、デコロニアリズムの実践のつながり
[2023年12月15日号(丸山美佳)]
11月16日、ドクメンタ16の芸術監督選考委員全員が辞任するなど、現在の西欧社会におけるパレスチナ問題と反ユダヤ主義を取り巻く議論は、去年のドクメンタ15が引き起こした論争や反発以上に不穏な雰囲気をまとっている。オーストリアにおいても、パレ...
価値と手段にあふれた世界で何を作る?──「コンセプト」をめぐる漂流と功罪
[2023年12月15日号(津久井五月)]
「コンセプト」の一語は、古くも新しい概念として問い直すことができるのではないか。その概念は、アート領域における20世紀のデュシャンに端を発するかたちで、表現媒体やジャンルを超える拡がりを獲得してきた。表現活動でも事業的な活動でも「コンセプチ...
【NY】ジュディ・シカゴ──彼女たちのヒストリーとストーリー
[2023年12月01日号(梁瀬薫)]
2010年代から盛り上がっている#MeTooやBLMなどの人権運動は、アート界の地殻変動をもひきおこしている。これまでスキャンダラスな作品で著名ではあるが正当な評価から疎外され、美術史の周縁に追いやられていたジュディ・シカゴの回顧展がNYの...
気候危機に対してアートの現場でできること──ギャラリー気候連合のアクション
[2023年11月15日号(坂口千秋)]
気候危機は政治や経済だけの問題なのか。否、アートの世界でも脱炭素社会を目指すさまざまな動きが目立ってきている。それは、展覧会やアーティストのテーマとしての「エコロジー」ではなく、もっと現実的なアクションとしてだ。たとえば、アーティストやスタ...
【極北極】外洋と凍海の狭間に生きるイヌイットのグラフィックアート
[2023年11月01日号(キオ・グリフィス)]
社会的政治的影響の下、近年アメリカの現代アートは、アメリカの原・先住民の発掘に着目点をおいた。私は昨年 DNP文化振興財団の助成 を受け、前からあたためていたアメリカのBIPOC(バイポック:Black, Indigenous, Peopl...
展覧会を持ち歩くことで見えてくる風景──「風の目たち/The eyes of the wind」
[2023年10月15日号(鈴木沓子)]
不安定な情勢を抱える一部の地域を除いてではあるものの、パンデミックが収束に向かうにつれ、国を越えた移動に際してのハードルは次第に以前の状況に戻りつつある。アートスペースの立ち上げや「ATAMI ART GRANT」などの展覧会企画に携わって...
【ブリスベン】多文化の波にゆれる都市
[2023年10月01日号(土岐文乃)]
オーストラリアは18世紀後半の英国からの入植、その後の産業革命による発展、20世紀の白豪主義という時代を経て、先住民族の権利の回復、多様な文化的背景をもつ移民の増加など、短い歴史のなかで大きな変貌を遂げてきた。各都市は、気候、自然環境、資源...