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バックナンバー
空気をめぐって──有機物とアートの新たな関係
[2023年03月15日号(四方幸子)]
2011年3月11日。この日、津波に加えて、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、大気や環境に放射性物質が放出されたことを忘れることはできない。 あれから12年……。その後に全世界で起きた新型コロナウイルス感染症を経験したパンデミックの時代...
【インド・コーチン】南アジアのアートハブ、コチ=ムジリス・ビエンナーレ10周年目の波乱
[2023年03月01日号(黒岩朋子)]
2012年から南インドのケーララ州コーチン(コチ)で始まったコチ=ムジリス・ビエンナーレは、アーティスト主導のもと、大航海時代の古びた港町を現代美術の祭典の地に変貌させ、類を見ない大型の国際芸術展へと成長を遂げた。その成功は国内の若手、無名...
ミュージアムにおける脱植民地主義──シングル・ストーリーからの脱却
[2023年02月15日号(八巻香澄)]
2023年、史上最多のグラミー賞受賞者となったビヨンセは、2018年にJAY-ZとのThe Carters名義で 「APESHIT」のMV をルーヴル美術館を舞台に制作している。この彫刻はどういう歴史的経緯でここにあるのか、この絵画の登場人...
【ベルリン】AIアバターとアーカイブ映像の融合が示すあり得た歴史とオルタナティブな社会──C・クーレンドラン・トーマスの映像メディアインスタレーション
[2023年02月01日号(日比野紗希)]
ベルリン在住のタミル系アーティスト、クリストファー・クーレンドラン・トーマス(Christopher Kulendran Thomas)の個展「Another World」がベルリンの クンストヴェルケ現代美術センター(KW Institu...
つどいのメモランダム
[2023年01月15日号(うらあやか/長谷川新)]
人と人が同じ空間(オンラインも含む)に「集う」ということへの感覚が、パンデミックも多分に影響するかたちで近年大きく変質したのは言うまでもないだろう。その過程を経ての2023年1月現在、物理的に集まることに対する制度的/社会的な制限も一時期よ...
【アムステルダム】精神科病院でのアーティスト・イン・レジデンスと美術館教育のかさなり
[2022年12月15日号(佐藤麻衣子)]
美術はだれにとって必要なのだろう。例えば、あらゆる人に美術館に来てほしいと願うとき、その「あらゆる人」はだれを指し、だれが未だ訪れていないのだろう。 日本の美術館で教育普及の学芸員をしていたときに感じていた疑問にさらに向き合うため、わたしは...
アーティストに教わる 簡単おいしい「アトリエ飯」
[2022年12月15日号(artscape編集部)]
artscapeでは、毎年、年の瀬が来るたびにさまざまなテーマでアーティスト自身の声を紹介してきました。今年はスタジオでつくっている料理のレシピを教えていただきました。 展覧会の搬入まであと何日! と追い込まれた孤独な闘いのなかでつくる料理...
【上海】現代アートマップ2022
[2022年12月01日号(金澤韻)]
中国では都市の光景がどんどん変わっていく。雰囲気のいいカフェや美味しいレストランなどの情報の有効期限はせいぜい1、2年だし、人気のショッピングモールも流行り廃りが激しい。そのなかで、現代美術を見ることのできる場所も、──カフェやモールに比べ...
「繭」は何を保護しているのか?──マームとジプシー『cocoon』のあとに、今日マチ子『cocoon』をクィアに読み直す
[2022年11月15日号(高嶋慈)]
沖縄戦の看護隊に動員される少女たちに着想を得た今日マチ子のマンガ『cocoon』(秋田書店、2010)を原作にしたマームとジプシーによる舞台作品が、今夏に再々演された。原作マンガは、少女の日常世界を透明感ある筆致で描いてきた今日マチ子が「戦...