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アートピクニック ON THE WEB 4 鳥光桃代

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――シドニーで行なう展覧会について。教えてもらえるなら、ぜひ!

これは残念ながら新作ではなく旧作。
99年の年明けにNYのジャック・ティルトン・ギャラリー(今は名前が違う【新名称教えてください】)のグループ・ショーに出していた作品をたまたまシドニーの現代美術館(MCA)のキュレーターが見ていて、宮田の3チャンネル・ビデオ・インスタレーションだけど、同じ作品を見せたいということだったのでそのうちのパフォーマンスビデオだけを4月に新たにシドニーで行なったものに差し替えるので部分的に新しい。
とはいってもこのインスタレーションのなかで、宮田であるということはあまり重要ではなくて、ひとつの対象に対していかに情報とは加工されてしまうのか、どの側面から見るかでいかに印象が違うのものか、というのが私のポイントです。
3つのプロジェクターで、4面ある壁面のうちの3面に大きくそれぞれまったく違う映像を投影します。ひとつはパフォーマンスの映像、もうひとつは私が作った虚構の宮田を使ったTVコマーシャル(ドリンク剤とか背広とか……)。
もうひとつはTVスポット。宮田のヴィジュアル・インパクトのせいで今までにいくつかの国のいろいろなテレビ番組のなかで放映されることがあったけれど、国によって、番組によって取り扱い方が全然違うので、それをひとつの映像としてまとめたもの。
日本ではバラエティーとかクイズとかそういうエンターテインメント、ある国ではシリアスな社会派アーティスト、またある国ではサブカルチャー的に、と扱われ方が全然違うので、どの番組を見たかによって私や宮田の印象が全然違うのでは?というそこのところ。

写真提供=上野則宏


――なるほど。ひとつの作品を見るのに、その人の受け止め方の違いでまるで異なる印象になったりするわけで、同じ作品を見ているとは限らない訳ですよね。だから、現代美術ってその時代や社会的背景とか、それぞれ個人の抱える事情とかによってもまるで違って見えてくる。それを面白いって思えると広がりそうだね。

あんまり、いろいろおしゃべりしたので、ちょっと酔いがまわったかな!? ちょっと昼寝しようか??? コニーアイランド連れてってくれてありがとう。楽しかった。

[かとう えみこ 美術批評・キュレーター]

   

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