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アートピクニック ON THE WEB 7 PHスタジオ

.. ――PHスタジオがユニットであることは明記してもよいのでしょうか?
簡単に自己紹介していただきたいのですが、どういう活動を中心にしているグループで、どうしてPHスタジオを始めるになったのか??

PHスタジオは4人のユニットです。
1984年の発足で美術と建築設計をやっています。「家具」「家」「都市」といった既成の枠組みを「棲む」というキーワードでそれらの解体と再読を試みようとしている。活動は美術館やギャラリーでの展覧会、野外プロジェクト、建築設計など。


――PHスタジオのきっかけとなった川俣さんのプロジェクトに携わったのは何年?

川俣さんの国内での野外プロジェクト(「工事中」、ヒルサイドテラス、1984)をアシストしたのがきっかけです。


――いまは、灰塚に来ているわけですが、すでに94年からココとの関わりがあるわけですよね。
「灰塚アースワークプロジェクト」を始めたきっかけを教えてください。

灰塚アースワークプロジェクトの実行委員会から招待されて、ダムと美術とか建築とかで何か提案してくださいといわれてレジデンスしたのが最初です。


――いままでの「灰塚」での活動を歴史的にざっと紹介してください。
特に思い出深い話など……。


「船をつくる話」のこれまでのあらすじをお話します。

■灰塚アースワークプロジェクト
広島県北東部の山々に囲まれた三良坂・吉舎・総領の3町にまたがる灰塚地域にダム建設が持ち上がったのがおよそ30数年前。長い建設反対の闘争期間を経て、現在は美しいダム湖を残すためにさまざまな人々によってダムエリアの再建プロジェクトが進行しつつあります。灰塚アースワークプロジェクトは、この広域の自然と文化をひとつのネットワークで結びつけようと、1994年からサマーキャンプ、ワークショップや環境への提言などを行なってきました。私たちも94年、96年とこのプログラムに招待され、「船をつくる話」のプランを考えてきました。

■船をつくる話
ダム工事に伴いおよそ188haの森林が水没し、20万〜30万本の木が伐採されます。民家や工場の移転が進行するなか、森の引っ越しについて考えてみようというのが、このプロジェクトのはじまりでした。私たちのプランは、これらの伐採される木を使って60m大の筏状の船をつくり、それを山のてっぺんに移動すること。もちろんそれは人力では不可能ですが、ダム完成時に行なわれる湛水実験時(ダムのもっとも高いレベルまで水をためる)には、水位とともに船を浮上させることができるのです。実験後は水位を下げるので、船は山のてっぺんに取り残されるという仕組みです。

■船をつくる話 1998
プランは単純ですが、実際にこのプロジェクトを推進するには、さまざまなハードルがあります。どのように木を集めるのか、水に浮いているときはどうするのか、引っ越しするのは木だけでよいのか、不時着したあとのこと等、地元の方々や専門家の人たちから、知恵やちからを授からないといけない事柄がたくさんあります。この年は、主に地元の人々にこのプロジェクトをより広く知ってもらうために、プランの展覧会やシンポジウム、アンケートをとる、家を訪ねてまわる、新聞をつくるなどを行ないました。

■船をつくる話 1999――木をあつめる
船をつくる材料は、元口の口径が約10cm、長さ4m程度の杉か桧の皮を剥いだ丸太をおよそ1600本つかいます。この年のプロジェクトでは、木を集めているということをアピールすることを中心に活動しました。森林やこの地域に関係する動物である象やワニ(さめ)、だるまカエルが登場し、木を提供してくださる方々を探して、ダムエリア内を60km訪ね歩きました。そんな話のなか、道路の拡幅工事があるからと、桧の林を提供してくださる人が現われたり、建設省もダムエリアの伐採木材を取り置きしてくれていたり、少しずつですが、木は集まりはじめています。

■船をつくる話 2000――船の上の家
建設省から船の制作場所の占有許可がおり、3町の合流点にあたる向井橋の近く(元工場があった場所)で船の上の家を制作しました。この船の上の家は、船が浮上するときには甲板にのせられますが、当面は船を制作したり、ちょっとした集いを行なったりする準備小屋として機能します。当初の計画では小さな家を3つと考えていましたが、結局、事務所作業ができるような小さな家(六畳ぐらい)と4mものの丸太の皮剥きができる程度の少し大きな作業小屋を制作しました。形や色は大分迷いましたが、僕らのよく使うモチーフでもあり、ここのかつての集落の印象の切り妻形、色は、黒と白を選択しました。南面で開けていて、とてもいい場所です。

■船をつくる話 2001――ふねをつくる
今年はふね本体を制作しています。


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