「間」須田悦弘個展
会場:ギャラリー小柳
会期:1999年2月19日〜3月20日
問い合わせ:03-3561-1896
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ギャラリー小柳のために新作を作っているところをスタジオ食堂まで訪ねたこともあって、今回の展覧会は楽しみだった。これまで薔薇、百合、木蓮、チューリップや雑草まで本物と間違えるほどのリアルな作品を木彫で作ってきた須田悦弘は、今回“椿”を創作した。
この花が選ばれた理由は、やはり季節柄ということも大きいが、椿が持つ劇的な色に違いない。真冬の冷たい空気の中でみる椿は鮮やかに赤い。だれしもそうした印象をもっているはずだ。しかし、実は淡いピンク色なのである。少なくても須田のスタジオでモデルとして置かれていた椿はそうだった。
しかし、須田は真っ赤にした。しかも奥のほうが黒いと思わせるほどの深い赤だ。深紅の薔薇が熱烈な愛を表現するように、椿の赤は、日本の情念を漂わせる色なのではないか。真冬の通りすがりに見る椿に、真昼の情事を思い浮かべる諸氏がいてもおかしくない。むしろ、それが自然なことなのだ。リアリズムの作家と括られがちだが、須田はそうした情念を密かに抱えている作家である。だからこそ、一輪の花が、あれほど寡黙なのに、凛としているのだろう。 |
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「木蓮」1998
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プロジェクトA.P.O.
アーティスト:廣瀬智央、植田暁
会場:佐賀町エキジビット・スペース 江東区佐賀1-8-13食糧ビル3F
会期:1999年3月2日〜28日
廣瀬智央企画「江東区内水路」
実施日:3/19〜3/21、3/26〜3/28
問い合わせ:03-3630-3243
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ミラノ在住の廣瀬智央による新作が佐賀町エキジビット・スペースで開催されている。廣瀬は、匂いや触感などで人間の感覚機能を刺激する作品を発表してきたが、今回も佐賀町でアートな匂いを嗅覚できる。タイトルのA.P.O.とは、イタリア語で匂いに関する言葉の頭文字から取ってある。
会場では、匂いとしては直球ともいえる芳香剤を使った作品が、入り口に大きくセットされ、部屋中にその香りが広がっている。それは、色合いや匂いの質までこだわって調合した、オリジナルの芳香剤である。小さくカラフルなプラスティックの粒に香りを絡ませているとのことだが、微妙に異なる色彩の粒々の集積が、香りを漂わせながらきらきらと光る様子は妙に神秘的である。匂いは、現実の感覚を少なくとも微妙に変化させる機能を持っているらしい。
会場の床一面に敷き詰められたイラン製の手織り絨毯の上を歩きながら、踏むごとに匂いがでるしくみになっているのかしら。と思わず錯覚してしまった。この絨毯の微妙であいまいな色斑が、歩行感覚を揺ら揺らとさせるようである。手織りのデコボコとふかふか加減がそれを助長させているようでもある。なにしろ自由に寝そべったり、ごろごろしながら感触を存分に味わうことができるのが楽しい。廣瀬の仕事は、力強くシンプルだが頭を悩ませることはない。そう意味では、このところのコンセプチュアルアートよりすんなり体に吸収できるといえるだろう。
今回の展覧会では、会場だけでは納まらないプロジェクトが用意されている。ビルの屋上では、宿泊用テントがある。都会の屋上で寝泊まりするのは、初めてだが思わず予約してしまった。屋形船ではないが、下町の水路を走る船も用意されている。こちらも参加するつもり。単純なシステムで人間の感覚を喚起させることを成功している廣瀬が仕掛けている仕組みに敢えて関わってみたいと思ったからだ。それは、私がいつも感じている東京とは違うものになる気がする。
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自主映画の上映活動における今昔
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以前より自主映画作品は好きなほうで、機会があれば見たいと思ってきたが、いざ見ようと思うとストリップ小屋にでも入るような気がしてなかなか勇気がいるものである。それだけ独特な世界がそこにはある。あの薄暗い小さな部屋で上映される映写機のカタカタなる音が、落ち着きの無い私の気持ちを見透かしているようでもあるからだ。いざ、映画に見入ってしまえば、上映会場の狭さなどは意識もせず白く開け放たれた窓のように、映し出される向こう側の世界にのめり込んでしまうのだが。
最近になって友人を介して知り合いになった自主上映活動の2つのグループがあって、どちらも生っ粋の自主上映活動である。何が、生っ粋といえば全て自前でこなしていることである。会場設営、広報、上映作品の制作などが全て自費というのもすごーいじゃないか。それにしてもこれしか方法がないのだろうか。ちょっと時代を遡ってるようなインディペンデント活動のように思えてしまうのだが、本人たちはいたっていごこち良さそうである(?)La Cameraはすでに毎月の上映会を6年間も続けているし、イメージリングスは隔月上映で3年以上とそれぞれ継続できているところが立派である。むしろ外部からの干渉がないこともあって、好きなことを好きなだけやってきたといえるのではないか。
現在、世田美で行なわれている「時代の体温」に出品している大木裕之は、こうした自主映画の出身である。わたしも彼の作品をイメージリングスの上映会で見たのだ。夕張国際ファンタスティック冒険映画祭で今年のオフシアター部門でグランプリを受賞をしたのは、村上隆。彼の作品はLa Cameraのほうで2月に2本立てを行なったばかり。どちらも質の高い上映作品を揃えているのだが、なかなか新しい観客を引き込むまではいっていないようだ。映画だってファインアートだという思いがある者(無い人だって結構楽しめる)にとっては、こうした自主映画も覗いてみてほしい。彼らだって新しい友人がほしいのだから。
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LA CAMERA上映会“物語のあとさき”
上映作品:大川戸洋介「恋の姿見」(18日)
長屋美保「天使待ち」(19日)
江口幸子「べっくんはくまです」(20日)
会場:LA CAMERA 地下鉄千代田線乃木坂駅2番出口 赤坂ハイツB1
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会期:1999年3月18日、19日、20日 7pm〜
入場料:¥1,000
問い合わせ:03-5410-4405
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イメージリングス“ANIMATION/ヴィジュアル系”
作品:浅野優子、寺嶋真里、木村英樹他11人の映像作品
会場:ミニホール新宿Fu 西武新宿駅アメリカンブルバード向かい新宿永谷ビル1F
会期:1999年3月19日、20日、21日、各日12pm〜、3pm〜、6pm〜
入場料:¥1,000(前売り¥800)
問い合わせ:044-812-9341
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アクション〜行為がアートになるとき1949-1979
戦後のアートシーンのなかで「アクション=行為」が果たした役割とその変遷について
アーティスト:ポロック、フォンターナ、ジョン・ケージ、イブ・クライン、ラウシェンバーグ、
具体美術協会、ハイレッド・センター 他
会場:東京都現代美術館 東京都江東区三好4-1-1
会期:1999年2月11日〜4月11日
問い合わせ:03-5245-4111
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静岡県のコンベンションア−ツセンターのオープンを記念して行なわれる“バルーンアート・フェスティバル”は、国際的なアーティスト作品も含めて展開するアドバルーン大会といったものである。そういえば村上隆のDOBちゃんや草間彌生の斑点ピンク作品だって随分と風船を使ってきたのだ。
今回のフェスティバルでは、高さ60mの大ホールに大形のバルーン作品がいくつも浮かぶものだ。なかには自分で膨らましたり、触ったり、なかに入ってみることもできるインタラクティヴな作品もある。ふわふわした感触を思いっきり楽しみながら、こどものように遊んでみるといったほうが、あれこれ考えるよりは良さそうである。でないと、この不況にできる時期外れの箱物行政の賜物のようなイヴェントじゃないの。作品同様中身の無いポッカリしたものにならなければ良いのだけれど。
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今日の作家展「コンセプチュアリズムの新たな展開」
出品作家:井口大介、喜多順子、北川裕二、木村友紀、国民投票、スズキヒロシ、ナカイメグミ
会場:横浜市民ギャラリー3F展示室 関内駅南口
会期:1999年3月4日〜3月23日
問い合わせ:045-224-7920
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