Art Information Archive
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東北エリア 木戸英行
exhibition福田美蘭 New Works: Prints

会場:現代グラフィックアートセンター(CCGA)
   福島県須賀川市塩田宮田1
会期:1999年3月6日(土)〜5月30日(日)
開館:10:00〜17:00 休館=月曜(3/22、5/3を除く)、4/30、5/6
  入場料:一般300円/学生200円/小学生以下と65才以上および身体障害の方は無料
  問い合わせ:0248-79-4811 
  e-mail:
ccga@po.iijnet.or.jp


福田美蘭 New Works: Prints史上最年少、若干26歳での安井賞受賞(1989年)という華々しいデビュー以来、今やわが国を代表する現代美術作家として押しも押されぬ存在になった福田美蘭ひさびさの個展。今回は、印刷や「版」をキーワードにした新作絵画や立体で、複製メディアと現代の我々の視覚体験との関係を浮き彫りにしている。ベラスケス、マネ、ダ・ヴィンチなど、おなじみの巨匠たちの絵にモザイクをかけたり、画中の登場人物の視点から絵画空間を再構築してしまったりと、ユーモアとアイロニーたっぷりの仕掛けを施したトリッキーな作品が有名な彼女だが、その根底に流れるのは、現実の身体的体験と複製メディアを介しての視覚体験との間に何の境界もなくなってしまった現代そのものへの関心だろう。福田美蘭「ラファエロ“グランドゥーカの聖母”」前述の美術史に題材をとった作品群も、美術をめぐる因習的な制度や固定観念を顕在化させる一方で、美術観賞のほとんどが複製メディアを通じてのものになってしまった現代の状況を鋭く照射している。個展としては約3年ぶりの発表であるが、一般には版画専門館として知られるCCGAで、しかも展覧会タイトルに「Prints」と冠しながらいわゆる版画作品の出品はなし、というあたり、福田美蘭らしい企画である。なお夏には国立国際美術館で、本展出品作品を加えた回顧展も開催される。 topics福田美蘭展

 

福田美蘭「ラファエロ“グランドゥーカの聖母”」1996年
(C) Miran Fukuda

 

exhibition現代美術のレッスン・1

アーティスト:李禹煥、若江漢字、上田薫、河口龍夫、ヨーゼフ・ボイス
会場:秋田市立千秋美術館
   秋田県秋田市中通2-3-8(アトリオン)
会期:1999年2月11日(木)〜3月22日(月)

  開館:10:00〜18:00 休館=月曜日、2/27、2/28
  入場料:一般500円/高・大学生300円/小・中学生無料
  問い合わせ:018-836-7860

現代美術のレッスン・1 板橋区立美術館の「わかってたまるか現代美術」展や、豊田市美術館、川村記念美術館、水戸芸術館共催の「なぜ、これがアートなの?」展など、最近、美術館での鑑賞教育に主眼を置いた企画展が目立つようになってきた。もちろん、鑑賞教育の重要性に対する認識は今に始まったことではない。各地の公立館でもそれぞれ独自の試みが行なわれてきており、中でも北海道立近代美術館、宮城県美術館、水戸芸術館、目黒区美術館などの長年にわたる実践は有名である。しかし、「難解である」と一般から敬遠されがちな現代美術に焦点を絞ったものが目立つのは最近の傾向だろう。現代美術入門と言っても、その切り口や対象はさまざまで確立された手法もなく、担当学芸員の情熱とアイデアに依存するところが大きい。もちろん、マニュアル化されたメソッドなどは必要ないが、先に挙げた各館や今回の秋田市立千秋美術館以外にも、より多くの館で日常的に同様の実践が行なわれ、その情報を相互に生かせるようになるのが理想か。
exhibitionあなたがこの絵の名づけ親!?――親子で楽しむ題名のない展覧会

会場:秋田県立近代美術館
   秋田県横手市赤坂字富ヶ沢62-46
会期:1999年2月26日(金)〜4月18日(日)
開館:9:30〜18:00 休館=無休
  入場料:一般600円/高・大学生500円/小・中学生300円
  問い合わせ:018-233-8855


秋田市立千秋美術館「現代美術のレッスン・1」展と同じく、鑑賞教育を目的とした企画展。こちらは、キャプションをつけずに作品を展示し、鑑賞者に自分なりの作品タイトルをつけさせることで、知識や先入観にとらわれない、作品との一対一の対話を促そうという企画である。作品名を当てるクイズ形式のワークシートや、鑑賞者による題名投票など、展覧会全体が美術鑑賞のワークショップとなっている。
exhibition安藤重春展

会場:郡山市立美術館
   福島県郡山市安原町字大谷地130-2
会期:1999年2月27日(土)〜3月28日(日)

  開館:9:30〜17:00 休館=月曜日(3月22日を除く)、3月23日(火)
  入場料:一般530円/高・大学生320円/小・中学生150円
  問い合わせ:024-956-2200

安藤重春は郡山出身の日本画家。東京美術学校で結城素明や小泉勝爾の指導を受けた後、一年先輩の高山辰雄に私淑し、戦後は日展を舞台に作品を発表した。市内でももっとも歴史のある神社という旧家に生まれ、宮司を勤めながらの画業に加えて、幼稚園や児童画クラブを主宰するなど、教育にも熱心に取り組み、地域での美術普及に大きな貢献をした。展覧会には、幻想的な田園風景や、幼稚園の日常をほのぼのと描いた代表作が出品される。なお本展は、郡山市立美術館が、郡山出身・居住、もしくは地域の美術教育に功績のあった作家を顕彰する企画展の第三弾として開催されている。
exhibition斎藤清:描かれた花と女性展

会場:やないづ町立斉藤清美術館
   福島県河沼郡柳津町大字柳津字下平乙187
会期:1999年1月15日(金)〜4月11日(日)

  開館:9:00〜16:30 休館=月曜日、祝日の翌日
  入場料:一般500円/高・大学生300円/小・中学生200円
  問い合わせ:0241-42-3630

会場のやないづ町立斉藤清美術館は、国際的な木版画家、斉藤清の個人美術館。作家が晩年アトリエを構えていた柳津町が、その業績を記念して一昨年開館させた。同館ではこの1月から、「描かれた花と女性展」と題した企画展が開催されている。一般には、「古都」「会津の冬」の両シリーズに代表される、郷愁を誘う古き良き日本風景を題材にした作品の人気ばかりが先行している斉藤清だが、実際には、戦前から木版画というメディアで数々の実験的な表現を試み、とくに油彩画と見紛うような堅牢なマチエールで装飾的な平面性を強調した1950、60年代の作品は、今見ても十分に異彩を放っている。本展のタイトルにもなった花や女性像は、その時代に多く制作された主題でもあり、終生モダニストとして木版画に取り組み、日本の現代版画のパイオニアともなった斉藤清の真価を堪能できる展覧会である。
exhibitionコレクションによる物語る美術II:シェイクスピアのビジョン

アーティスト:ウジェーヌ・ドラクロア、カール・ホーファー、オスカー・ココシュカ、
       マックス・ベックマン、川上澄生、
草間彌生、戸谷成雄、ヨーゼフ・ボイス
       
アンゼルム・キーファー、キキ・スミス他

  会場:栃木県立美術館
     栃木県宇都宮市桜4-2-7
  会期:1999年2月18日(木)〜1999年3月28日(日)
  開館:9:30〜17:00 休館=月曜日(3月22日は除く)、3/23
  入場料:一般500円/高校・大学生300円/小・中学生200円
  問い合わせ:028-621-3566

コレクションによる物語る美術II:シェイクスピアのビジョン 先に開催された『コレクションによる物語る美術I』展につづく第二段。今回はシェイクスピアに焦点をあて、物語と美術の関わりを検証する。出品作品の目玉は、1918年にドイツで刊行されたオスカー・ココシュカやマックス・ベックマンなどドイツ表現主義の作家たちによる版画集《シェイクスピアのビジョン》。同館の所蔵品で本展で初公開となる。展覧会はこの《シェイクスピアのビジョン》に、物語という視点から選ばれた現代美術作品を加えて構成される。

 

 

 

 

 

exhibitionイメージの森へ――原美術館コレクション展

アーティスト:荒木経惟、遠藤利克、草間彌生、久保田成子、杉本博司、辰野登恵子、戸谷成雄、
       中村一美、堀浩哉、野村仁、
森村泰昌、柳幸典

  会場:ハラミュージアムアーク
     群馬県渋川市金井2844
  会期:1999年3月20日(土)〜6月20日(日)
  開館:10:00〜16:30 休館=木曜日(4/29を除く)
  入場料:一般700円/学生500円
  問い合わせ:原美術館 03-3445-0651 e-mail:
harainfo@ka2.so-net.ne.jp
  ハラミュージアムアーク 0279-24-6585 e-mail:
haraarc@mail.wind.ne.jp

原美術館コレクションの中から日本人作家12名を取り上げた所蔵品展。主題・素材・方法とも様々な表現の作品を、多種多様な動植物が共生する森の自然(=ネイチャー)にたとえ、12人の表現が織りなすイメージの森をめぐりながら、現代美術の特質(=ネイチャー)を味わおうという企画。
exhibitionよみがえる軌跡――荒尾昌朔展

会場:大川美術館
   群馬県桐生市小曽根町3-69水道山中腹
会期:1999年1月3日(日)〜3月28日(日)
開館:10:00〜17:30、休館=月曜日 祝日の翌日
問い合わせ:0277-46-3300


戦後いち早く日本画における抽象表現の可能性の探求に身を投じ、苦闘の末、1964年に不慮の事故によって世を去った異色の日本画家、荒尾昌朔の発掘展。生前は団体展への出品作以外に世に知られることがなかったが、遺族の許に残された遺作が同館へ一括して寄贈され、没後35年を経て初の回顧展開催となった。初期作品から絶筆まで約35点を展示。
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