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アンソール版画展 世紀末ベルギー 幻想と驚愕の世界
会場:名古屋市美術館
名古屋市中区栄2-17-25 白川公園内
会期:1999年4月24日(土)〜6月6日(日)
開館:9:30〜17:00 休館=毎週月曜日
入場料:一般600円/高校・大学生450円/小・中学生300円
問い合わせ先:名古屋市美術館 052-212-0001
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「仮面の画家」といわれるくらい、アンソールは仮面を被った人物を画面に登場させる。仮面をつけた人は自分の素顔を隠し、虚の世界の存在となる。この現実と虚構の二重性の問題、不条理さこそが、アンソールのテーマだった。彼は、人間の存在、生と死、虚と実を真剣に見つめていたのだ。そこには、彼の複雑な家庭環境や生家が土産物展だったことも関係しているという。店には動物の剥製や異国の品々、骨董品など奇妙かつグロテスクなものが並び、カーニバルの時期になると仮面も置かれた。これらのイメージが、彼の陰気で毒々しい画面になって現われてきたのだろう。
またアンソールの作品には、しばしば骸骨も登場する。ヨーロッパには中世以来「死の舞踏」と呼ばれる表現がある。骸骨や悪魔が生きている人の手を取り、一緒に踊っている図像だ。どんな人物でも必ず死が訪れるという教訓がこうした表現に現われているというが、アンソールの作品もそれを思い出させる。しかし彼の表現は、自身の内面を描いたという点でそれとは異なる。彼の描く骸骨はシニカルに、世間から見捨てられた自分に慰めを与えてくれる存在として描かれていたりもする。
いわばアンソールは生と死、自分と社会の関係を見つめ、仮面の人物、骸骨を用いてそれらを表現し続けたのだ。
兵庫県立近代美術館所蔵の旧ボーガルツ・コレクションの版画作品100点に、版画と同図柄の油彩画1点を加えて構成。なお、アンソールと同時代メキシコで活躍した民衆版画家ホセ・ガダルーペ・ポサダの風刺版画展も同時開催。こちらも骸骨や猟奇事件をモチーフにした版画など、怪奇で幻想的な世界が広がる。
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東アジア/絵画の近代 油画の誕生とその展開
会場:静岡県立美術館
静岡県静岡市谷田53-2
会期:1999年4月10日(土)〜5月23日(日)
開館:9:30〜17:00(金曜は19:30まで)、 休館=毎週月曜日
入場料:一般・大学生1000円/高校・中学・小学生500円
問い合わせ先:静岡県立美術館 054-263-5755
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面白い企画展だ。一見なにかのパロディかと思うくらい、ある絵はルノアール、ある絵はマティスに似ている。セザンヌやレンブラント風の作品もある。またキリスト教の宗教画のモチーフや構図をそのままにして、キリストの存在を東洋の聖人に置き換えてしまった絵画もある。日本には、北斎や広重の風景をそのまま油彩にしてしまった画家もいた。
この展覧会は、アヘン戦争から1930年代まで(地域によっては50年代まで)の東アジア、特に中国、香港、台湾、韓国、日本で、西洋絵画がいかに受容され、その国独自の表現が模索され、根付いていったのかを検証する展覧会だ。
アヘン戦争を機に、西洋の文化が怒涛のように押し寄せた東アジア地域。アートの分野でもそれまで伝統的な絵画や画法に対して、西洋画法が大きな存在となってくる。その中で画家たちが体験した試行錯誤と苦闘が、展示からは見て取れる。しかもそれが各国で共通していたり、逆に国ごとに独自の展開をしていたりするから興味深い。例えば、台湾の郭柏川の色彩が日本の梅原龍三郎を思わせたり、中国では、遠景に山を描き近景に寺院と人物を描くという水墨画の典型的構図をそのまま油彩画にしていたりする。
これまで西洋の影響を日本の近代洋画で追った展覧会はあったが、東アジア全体の視点から見たのは初めてだろう。静岡の後、兵庫県立近代美術館、徳島県立近代美術館、宇都宮美術館、福岡東アジア美術館へ巡回の予定。
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名古屋駅前の生活創庫が、ヤノベケンジとコラボレート
会場:織部亭
愛知県一宮市島崎1-11-19
会期:1999年4月16日(金)〜5月23日(日)
開廊:10:00〜23:00、 ただし15:00〜17:00は休廊 年中無休
入場無料
問い合わせ先:織部亭 0586-76-1993
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JR名古屋駅新幹線側西口にある生活創庫が、オープン15周年記念イベントをスタートさせた。そのビジュアル展開をアーティストのヤノベケンジが担当していく。
生活創庫は、名古屋地区の10代後半から20代に支持されているショッピングセンター。ファッション、アクセサリー、雑貨、本、CDなどの店舗か入っている。来年オープン15周年をむかえ、その記念イベントを展開中。「新世紀を間近に迎えた私たちの生活や環境」をテーマに、ヤノベケンジとともに、それらをビジュアル化させていくという。 ヤノベケンジは65年生まれ。89年に、パンダ椅子に座ってペダルをこぐと体が回転するという奇妙な彫刻を発表。少年期にあこがれたSF世界に出てくるような乗り物などを次々と作品化、常に自身が乗りこみ楽しめる大きさで制作し、注目を集めた。その後渡欧、ドイツを中心に活動を続けている。最近は、放射能の存在を意識させるサバイバルスーツや自動車など知られている。 現在生活創庫には、正面ショウウインドウにヤノベが制作した「アトムスーツ」、正面入り口に「アトムカー」が設置されている。さらに15周年プロジェクトのチラシ、パンフレットなどのデザインに彼の作品が取り入れられている。 夏頃、ヤノベが生活創庫のために製作した新作が発表、展示される予定。またタイアップ展覧会として、秋、名古屋市港区の現代美術館名古屋にて、彼の個展も企画されている。
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名古屋ボストン美術館開館
会場:ハートフィールドギャラリー
愛知県名古屋市中区栄5-4-33
会期:1999年3月30日(火)〜4月11日(日)
開廊:12:00〜19:00、休廊=月曜日
入場無料
問い合わせ先:ハートフィールドギャラリー 052-251-5007
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4月17日、アメリカにあるボストン美術館の姉妹館として名古屋ボストン美術館が開館した。公開初日、午前10時の開館を前に、約300人が列を作った。
場所は、名古屋市南部のターミナル、金山の金山総合駅前。
展示室は、4階と5階。両方合わせて約1200u。4階では9月26日まで企画展「モネ、ルノアールと印象派の風景」、5階では5年を1期とする常設展「古代地中海の美術」を開催。秋からの企画展では、ボストン美術館の東洋美術部長だった岡倉天心が取り上げられる予定。
名古屋ボストン美術館
愛知県名古屋市中区金山町1-1-1
会期:1999年4月17日(土)〜9月26日(日)
開館:10:00〜17:00(金曜は21:00まで)
休館=毎週月曜日
入場料:一般1200円/大学・高校900円
/中・小学生500円
問い合わせ先:名古屋ボストン美術館
052-684-0101
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ルイス・C.ティファニー美術館が移転
会場:愛知県美術館
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10階
会期:1999年4月23日(金)〜6月13日(日)
開館:10:00〜18:00(金曜は20:00まで) 休館=毎週月曜日
入場料:一般1100円/高校・大学生800円/小・中学生500円
問い合わせ先:愛知県美術館 052-971-5511
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名古屋市八事のルイス・C.ティファニー美術館が、今年4月30日をもって閉館した。この美術館は、アメリカ、アールヌーボーを代表する装飾芸術家のルイス・C.ティファニーの専門美術館。ニューヨーク5番街にある宝石商ティファニー商会創立者の長男として生まれたルイス・C.ティファニーは、はじめ画家を志すが、次第に装飾芸術に関心を抱き、室内装飾、ステンドグラスやランプなどのガラス工芸など、装飾芸術における様々な分野で才能を開花させた。美術館では、こうした彼の代表作を展示してきた。
美術館は、島根県松江に移転。松江ティファニー庭園美術館として2001年4月2日に、新オープンする予定。
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文化センター・ゼミナール「20世紀を編集する」が開講
20世紀芸術の歴史について、基礎的な理解を深める事を目的とした通年の講座「20世紀を編集する」が開講する。総合文化施設である愛知県芸術文化センターという場の特性を活かし、映像、音楽、舞踊、美術など、実際に同センターで開かれる催しと連動したプログラムで構成されていく。
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・映像(実験映画の歴史と展開)
1…戦前の流れ 2…戦後の流れ 3…日本における展開
4…現代の映像表現 5…作品鑑賞またはゲストによる講義
・美術
「ゼミナール」開講中に開催する展覧会と連動した講義を予定
・音楽(4つのキーワードから音楽を俯瞰する)
1…音列 2…具体音 3…偶然性と即興
4…パフォーマンスとインスタレーション 5…特別講義 講師:テリー・ライリー
・舞踊(20世紀舞踊史)
1…古典バレエ〜バレエ・リュス 2…モダンダンスの誕生
3…ポスト・モダンダンス以降 4…コンテンポラリー・ダンスの現在
5…ダンス・ワークショップ 講師:美枝コッカムポー
・総論 ゲスト講師を招き、各ジャンルの講義を踏まえ、
芸術を総合的な観点から論じる。(2回程度の開催)
講師 愛知県文化情報センター学芸員の他、アーティスト、
批評家らのゲスト参加あり
期間 1999年5月〜2000年2月の間約20回開催 火曜19:00より
受講料 10000円(通年)
定員 30名程度
応募方法 往復はがきに、氏名、年齢、住所、電話番号、応募の動機を記入し、
返信はがきに、自分の名前、住所を明記した上で、〒461-8525 名古屋市東区東桜
1-13-2 愛知県芸術文化センター 文化情報センター企画事業課 「文情ゼミ」担当
越後谷宛まで。
<問い合わせ>愛知県文化情報センター 052-971-5511
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静岡にグランシップがオープン、「シアター・オリンピックス」を開催中
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静岡県JR東静岡駅前に、静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」がオープンした。地上12階、地下2階、約4600人収容の大ホール、オーケストラピットを持つ中ホール、シアター、ギャラリーなどを備えた複合文化施設だ。そこをメイン会場に、6月13日まで「シアター・オリンピックス」が開催されている。
「シアター・オリンピックス」は、ギリシアの演出家テオドロス・テルゾプロスが提唱、それに賛同した7カ国の演劇人によって生まれた舞台芸術の祭典。前回はギリシアで「悲劇」をテーマに1995年に開かれた。2回目の今回のテーマは「CREAT ING HOPE-希望の貌(かたち)」。グランシップのほか、静岡県舞台芸術公園内の野外劇場「有度」と屋内ホール「楕円堂」、静岡県内各地で演劇やオペラ、ダンスやコンサートなどの催し物が組まれている。5月15日以降の主なプログラムは下のとおり。
・「小市民の結婚」(フランス)5月15日16日 グランシップ中ホール
作:ベルトルト・ブレヒト 演出:ジョルジュ・ラヴォーダン
・「縁」(国際共同作品)5月21日、22日 グランシップ静岡芸術劇場
作曲・構成:ロジャー・レイノルズ
・「ディスコルダンシア」(カナダ)5月22日、23日 グランシップ中ホール
振付:ダニエル・デノワイエ
・「卒塔婆小町」(日本) 5月27日〜29日 静岡県舞台芸術公園「楕円堂」
監修:観世栄夫
・「リア王本) 5月28日〜30日 グランシップ静岡芸術劇場
作:シェイクスピア 演出:鈴木忠志
・「ヘラクレス2、13、5」(ギリシア/トルコ)6月4日〜6日
グランシップ静岡芸術劇場 作:ハイナー・ミュラー
演出:テオドロス・テルゾプロス
・「ロルカの闇Xペイン)6月4日〜6日 静岡県舞台芸術公園「楕円堂」
原作:ガルシア・ロルカ 演出:ルイス・パスカル
・「ドン・ジュアン」(コロンビア)6月6日 静岡県舞台芸術公園「有度」
作:モリエール 演出:パーベル・ノビーツキ
・「蝶々婦人」(国際共同作品)6月5日7日 アクトシティ浜松大ホール
作曲:プッチーニ 指揮:イサク・カラブチェフスキ 演出:ロバート・ウィルソン
・「カラマーゾフの兄弟」(ロシア)6月10日、12日、13日
グランシップ静岡芸術劇場 原作:ドストエフスキー 演出:ユーリ・リュビーモフ
・「トロイアの女」(ブラジル)6月11日、12日 静岡舞台芸術公園「有度」
作:エウリピデス 演出:アントネス・フィーリョ
・「リアの物語」(国際共同作品)6月12日、13日 グランシップ中ホール
作曲:細川俊夫 指揮:ジョルジュ=エリー・オクトルス 演出:鈴木忠志
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