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特集=万国博覧会
.貝島桃代

ZERIのパヴィリオン ZERIのパヴィリオンの見上げ ZERIのパヴィリオンのアップ
▲ZERIのパヴィリオン ▲ZERIのパヴィリオンの見上げとアップ
日本館 外観 日本館と内観 日本館内観
▲日本館と内観
西パヴィリオン地区=zeriと日本館
西パヴィリオン地区には、14のアジアの国と1つの非政府組織、1企業の建物がある。はじめにどこから入るか物色しながら会場を流していると、新技術のつるっとしたパヴィリオンが多いなかで、原始的で乱暴な感じの建物がひとつあり、その新鮮さにまず立ち寄ったのが、このエリアの中心にあるZERI(ゼロ・エミッション・リサーチ・イニシアティブ)のパヴィリオン。竹材と鉄のジョイントによる架構と、テラコッタ、セメント、竹の繊維を混ぜた床スラブからできている。外気と内気を隔てる壁がなく、入口らしいものもない。1階部分は完全に開放され誰もが自由に入って行くことができる。その一部には自然食品によるパンと飲み物を売るカフェがある。特に展示物もないのかと思ったが、よくみると2階への階段があり、そこにはパネルによる展示がある。この屋根の下でコンサートなどのイヴェントも行われる、開かれたパヴィリオンだ。
次にその向かいの坂茂設計の日本館を訪れる。(すでに200mぐらいの列ができていて、15分待ち!)「紙の建築」として計画当時から注目を集めていた建物であるが、坂はこのプロジェクトのドイツ側の共働者として、ミュンヘンのオリンピックパークの設計で有名な建築家フライ・オットーを選んでいる。坂は当初、紙管トラス構造の屋根、紙のハニカムパネルの壁、紙の膜構造を試みたが、施工やテロ対策などにより実現は紛糾した。結果として、ジョイントの部分に金属を加え、紙膜は塩ビ膜となっている。白いモノコックな外観を眺めながら、建物の脇を歩き、突き当たりの階段で2階からアプローチする。建物の内部に入ると、高い天井の全面は紙管のトラスに覆われている。膜を通して、太陽光が入り、全体が何となくぼーっと明るい。建物の2階の床レベルには廊下となる部分を除いて、布の床が張られ、それを通して、1階の様子がなんとなく見える。布から1階にある展示ブースの屋根が突き出していおり、枯れ山水の石庭のような感じだ。1階へのアプローチは、この石庭の水面を切り込むようになっている。1階ではテーマにわかれたブースごとの展示をみる。けれどもブースは鉄のフレームでできており、ブースの展示内容は、一つだけ紙の車のオブジェが飾ってある以外は、ヴィデオ
映像のプロジェクション。それは「紙の建築」というコンセプトと展示内容がなんとなくずれているように思えてしまった。紙をもっと徹底して、建築に限らず、コンパニオンのユニフォームや販売グッズとか、あらゆる展示のテーマとしてもっと取り組むとおもしろかったかもしれない。
このほかには、人間の彫刻がたくさんおかれているバチカン市パヴィリオン・ホーリーゼー(これはエクスポ終了後、教会として移築する)、ブルーのビニールシートの外壁に、水が絶えず流れているアイスランド館を訪れる。またコロンビア館ではコロンビアコーヒーのカフェがあるのには納得したが、パヴィリオンの展示内容にはちょっと驚かされた。というのもパヴィリオンでは待ち時間というものをどう過ごさせるかということが課題のひとつで、その多くにウエイティング・ルームが設けられているが、コロンビアのそれは、なんと真っ暗やみのなかにスポットで照らし出された、遺跡で発掘された本物の黄金彫刻をながめるというものだったのだ。またメインルームのビデオはコロンビアの観光案内の内容で、コロンビアの美しい風景をみるものだったが、その最後の5秒間に、大統領の映像が突然入ったのにも驚いた。
それから多くのパヴィリオンでは、各国料理のレストランが設けられていることが特徴である。アジアのパヴィリオンでもしかり。1階のプロムナードに面して、インドのお茶、シンガポールの中国料理、タイのタイ料理、各国料理のキオスクやレストランが設けられている。昼時、その周りは、ちょっとアジアっぽく、にぎわっていた。下手すると展示よりも、味でガンバルという感じだ。これまでの日本館がどうであったのか、プログラムまであまり詳しくないが、今回の日本館にももし寿司バーやそばなど食べる場所があれば、それはそれで相当な人気がでたにちがいない。ちなみにわれわれの昼御飯はせっかくのドイツということで、「オクトーバー・フェスト」というミュンヘンのビール祭りの名前のレストランへ。焼いたソーセージと、ミュンヘン市民が日曜日の朝食に食べるといわれている茹でた白ソーセージに舌鼓を打ち、ヴァイツェンビールを飲む。
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アイスランド館外観 コロンビア館外観 韓国館外観
▲アイスランド館外観 ▲コロンビア館外観 ▲韓国館外観
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