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特集=万国博覧会
.貝島桃代

オランダ館 オランダ館 花畑の階 オランダ館 根っこの階
オランダ館 オランダ館 花畑の階 オランダ館 根っこの階
東パヴィリオン地区=オランダ館
そして、オランダ館へ。すでに列ができていた。けれども待ち合いの部屋はないので、ただ、建物の周りにだらだらと並ぶ。並んでいると外観から各々の階がよく見える。断面図がそのまま立面図になり、パヴィリオンの層をめぐる観客をさらに外側から眺めるという、オープンエアーの待ち合い室。20分ほどまって、やっとそして建物の周りにとられた地下階の部屋への光をとるのための庭の上をブリッジで渡り、建物に入る。建物の1階はカフェの空間になっていて、それを横目で見ながら、シースルーのエレベーターで屋上へ一気にのぼる。そこから下にむかって順々に降りる巡回路だ。まず屋上はオランダの湿地を彷佛指せるプール。水のまん中には、卵型で、表面を芝に覆われたマリモのようなロイヤルルームが浮かんでいる。そのまわりには3台の巨大な風力発電の風車が建つ。万博会場の周辺にもなぜか風力発電の風車が回っていて、2つの風景は連続する。次は6階。屋上のプールから網を伝って流れ落ちる滝の外壁を眺めながら、外階段でおりてゆく。6階は滝の流れが見える外部廊下がありその内側に映像の劇場がある。映像のタイトルは、「オランダは土地をつくっている」。それは、土地をつくってきたオランダという国の空間の人工性を極端に直接的に表現した、このパヴィリオンと一貫する内容だ。オランダにあるさまざまな場所をテレビのチャンネルをザっプして飛び回るファッショナブルな映像である。5階はもっとも天井高が高く、木の丸太によるトラスが支える構造となっている。その丸太の林の間に本当の木が植えられている。その林の間には本物のハノーヴァーの町や畑がみえる。木の間の都市。それまで見たことのない風景である。
4階は「根っこ」と呼ばれる部屋。広い部屋に構
造となるシリンダーがあり、その内部には、上の階の木の根が育っている。またシリンダーの表面には、木の根っこのシルエットの映像が写される。3階は、花畑である。オレンジと黄色のプランターボックスが並ぶ。花の色の反射光のために、白い天井もオレンジや黄色に見える。2階は平たんなオランダの敷地を垂直方向に引き延ばした、デフォルメしたコンクリートの地形の階である。最後はこの地形の切り込まれた部分から、1階へ。1階のみやげ物コーナーでは、オランダのビールとチュ-リップグッズ、ポストカードなどが売られいる。表も裏もメインもサブもない。すべてが人工的にコントロールされつくられることで、様々なものがただ隣接する現代都市的なパヴィリオンである。
このほか、閉館までに、いくつかのパヴィリオンを駆け足でまわる。白樺の森の中庭をもつノルウエー館は、コンペによって入選した案が実現している。1階の展示にあった、ノルウエーの生活を紹介する子供の絵のようなアーティストの壁画が印象的だった。ポルトガルはアルヴァロ・シザとソウト・デ・モウラの共同設計のパヴィリオン。外壁をポルトガルの大理石と、コルクタイル、青いタイルで覆い、内部は白く、幕構造の波打つ、天井がかけられてる。入口脇には長いバ-カウンターがありそこではポルトワインなどが飲める。
やがてヨーロッパの夏といえども、暗くなりはじめたので、夕御飯を食べにハンガリー館へ行く。建築は、ギュルギュ・ヴァッタスが設計した。空に向かって開こうとする巨大な木の花の蕾のような建物(展示)とその脇にある植栽した屋上をもつ1層のガラス張りの建物(ショップとレストラン)。そこでハンガリーワインとグラッシュをはじめとするハンガリー料理を食べる。

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