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特集=万国博覧会
椿 昇
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ハノーヴァー万博レボート II アート・レビュー
ハノーバーの万博は、マルチメディアとインターネットの時代にあっても、直接的な体験は今なお特別な価値を持つものであることを証明するはずである」
――
ゲルハルト・シュレーダー(連邦首相)

Q:入場者にとって、テーマが少し重いということはありませんか。持続可能性、グローバルな解決策、アジェンダ21……など、やや面白味に欠ける感じがしないでもありませんが

A:「入場者は娯楽と情報の両面を手に入れ、そのうえちょっとばかり考え深くなると言えましょう。もちろん娯楽一点張りの施設も揃っていますから、各人各様の楽しみ方ができるでしょう」
――
ビルギット・ブロイエル(万博事務総長)

Q:日本館はCO2削減というテーマを遵守しましたね?

A「結局万博はお祭りなんだよ。みんなここでは楽しみたいから小難しいことなんて考えたくないんじゃないかな……」
――
(日本政府関係者)

20世紀最後の万国博覧会は、巨大スポーツイベントが隆盛を極めるなかで生き残りを賭け勝負に出た。前述した3人の関係者の発言は、その揺れる万国博の現状を端的に表し興味深い。シュレーダー首相が吐露した懸念は今や誰もが感じている身近な問題ではあるが、直接的な体験のみを万博存続の動機にするのではあまりにも説得力に欠けるきらいがある。メディアは直接的でないがゆえに我々の空想と妄想をかきたて興奮させる。オリンピックがどのように腐敗しようとも消滅しないのは、身体という存在を直接的に体験するものから映像装置を通して鑑賞する神がかり的な対象へと引き上げたことにある。
中二階エントランス部より見る テラドーム
▲中二階エントランス部より見る
テラドーム
初日の入館者
▲ゲームを楽しむ初日の入館者。右は、内部ゲームボードとモニタ。点滅するボタンをもぐら叩きの要領でたたくと燃えているモニタが緑の葉に変化。一定時間内にたくさんの仲間と協力して闘うと調和のとれた未来の世界へ、失敗するとカタストロフの映像になる。隣にいる人の手を偶発的に触れるという楽しいコミュニケーションもポイント。
コナミ+電通テック+椿昇/共同開発
コナミ+電通テック+椿昇/共同開発
難易度は4 段階に随時変更可能
4人で24 時間体制
このチームは4 人で24 時間体制!
また事務総長ブロイエル氏の発言には別種の矛盾に満ちた答弁がにじむが、この矛盾は我々にとって極めて正当なものと映る。20世紀後半はただひたすら物質的な繁栄を追及したため、短期的に経済的繁栄のためにならないプロジェクトや思想は排除されてきた。それが企業倫理であり繁栄であった。その結果人類は、生存する環境を危機的な状況になるまで痛めつけることになって慌てはじめたのである。「ただ楽しければいいじゃないか」という考え方と「もうけにならないものは悪」という20世紀的な発想から、社会資源を効率よく運用して人類の共存を図るという青臭い純粋さを国際社会は要求しはじめているのである。▼NEXT
アイランドデザイン
アイランドデザイン
アイランドと呼ばれる展示ブースの表面を(株)エプソンの協賛を受けPM9000C3 台をフルに回転させ総延長700m を3ケ月で制作した。
▼同じくアイランド。これらは平均
年齢21 歳の学生と、3万円以下の汎用ソフト。極一般的なパーソナルコンピュータで制作した。これも基本コンセプトを踏襲している。原画はすべてオリジナルの手書きをコンピュータえ処理し、巨大なサイズでレンダリングしたものを切り分ける。
アイランドデザイン
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