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World Art Report
市原研太郎
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2001年夏、ヨーロッパで開かれていた展覧会から[2]
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 スイス (続き)
 前回ドイツの項で、ヨーロッパの大コレクターが蒐集した作品の展覧会を紹介したが、スイスでも同様のコレクション展を幾つか見る機会があった。ひとつは、スイスの現代アート・センターであるチューリッヒのギャラリー街に、今年になって出現したダロス・コレクション(残念ながら、一般にプライヴェートな空間では撮影が許されていないので作品の画像がありません)、もうひとつは、チューリッヒから鉄道で東に1時間ほど行ったところの小都市サンクト・ガレンにあるハウザーとヴィルト・コレクションである。後者の展示場は、サンクト・ガレン駅に隣接する操車場を改造して作られているために、地の利がよかったり大容量であるだけでなく、そのユニークな形が特徴的である。そして両方とも、専用の広い空間をもち、数多いコレクションのなかからそのつど企画を立てて定期的に入れ替え、所有作品を人々の目に触れるようにしている。手に入れた財産を退蔵するのではなく積極的に一般公開し、自らの空間で公共の美術館と見紛うような活動を繰り広げる。ニューヨークのDIAファウンデーションやロンドンのサーチ・アンド・サーチは夙に有名だが、こうした民間の惜しみない努力は、現代アートを普及させるのに大いに役立つ。因みに、スイス・アルプスの山間にあるサンクト・ガレンは、修道院を中心にして古くから開けた美しい町であり、勿論観光地になっているが、現代アートにとっても無縁ではない。というのも、サンクト・ガレンの美術館とその付属ギャラリーは、現代アートにも力を入れていてしばしば有力なアーティストの個展や話題を呼ぶ企画展が開かれているからである。今夏はギャラリーのほうで、南アフリカの新進のアーティスト、キャンディス・ブレイツのヴィデオ・インスタレーションが展示されていた。彼女が機関銃のように繰り出す単純な反復イメージの強度は、現代アートの世界で、同じ南アフリカ出身のケンデル・ギアーズの残酷で恐ろしいイメージと双璧をなして圧倒的だ。


ダロス・コレクション第一回展覧会パンフレット▲ダロス・コレクション第一回展覧会パンフレット
ハウザーとヴィルト・コレクションのパンフレット
▲ハウザーとヴィルト・コレクションのパンフレット
(写真は、展示場の航空写真)
キャンディス・ブレイツ展パンフレット
▲キャンディス・ブレイツ展のパンフレット

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