1962年生まれ。ロンドンのカット・ギャラリーやバルセロナのアレハンドロ・サレス画廊をはじめ、国際的に作品を発表している彫刻家。バルサ材を用いたミニチュア作品や、中に入ることができるほど大規模な作品の両者とも隠喩的で非論理的な空間を作り出す。多くの場合ある種寓意的な面を持ち、その作品のもたらす空間と実際に作品を見る者の身体の大きさのインターアクションが生まれる。
デイヴィッド・リリーの作品は基本的に空間をテーマにしている。空間というものがどう認識されるのか――多くの場合、建築、ビル、室内装置を操って、このテーマを追求している。
最近は、住宅作品が圧倒的に多い。バルサ材を使った模型のような構造体になっていて、建築が伝統的に備えてきた堅牢性や安全性を覆えし、もろく不安定なオブジェに仕立てあげられている。たわまされ、ねじ曲げられ、歪められた構造体。それは見る人の感情を刺激し、心理的な局面を作り出す。そして建築内部への好奇心をかきたて、そこに空想される空間がどんな意味を持つのかを考えさせることになる。
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