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The Best of 1997/1998
1997年のアートシーン/1998年のアートシーン

出原 均 広島市現代美術館 学芸係長
1997年のアートシーン

1――評価した展覧会/イベント/作品など
《現代の写真1 失われた風景――幻想と現実の境界》2/1〜3/30 横浜美術館
《河原温展――全体と部分》

とりあえず、日本の現代武術に限定してアンケートにお答えします(以下同じ)。
前者は、困難とされるテーマ展の中では、成功したもので、作家選定のバランスも優れていました。後者は、海外での巡回展で、'98年、東京都現代美術館でも巡回されますが、この作家の認識をあらたにさせられました。

2――活動が印象に残った人物
中村政人

名声や地位の確立した作家も活躍したし、その個展が美術館でいくつか開催されましたが、若手作家の活躍はあまりみられませんでした。その中で、上野の森美術館で展覧会を開いた中村は、比較的広い視野をもって美術に向かっている作家といえるでしょう。

3――記憶に残った動向/トピックスなど
セゾン美術館の1999年閉館決定

1980―90年代に現代美術を最も積極的に紹介してきた美術館が1年後に閉館となることは、ひとつの時代の終焉を象徴するものといえるでしょう。
馬小虎
失われた風景
馬小虎「病院、四川省」
写真:横浜美術館

nmp.j1997年11月13日号
「地域ネットワーク展」を考える
●村田 真

中村政人
中村政人
「学芸員(窪田研二)の部屋」
写真:上野の森美術館

nmp Art Watch1996年12月24日号
中村政人展《TRAUMATRAUMA》
●名古屋 覚


1998年のアートシーン

1――期待する展覧会/プロジェクト/作品など
不明

1998年にどのような展覧会が開催されるのか、残念ながらあまりわかっていないので、答えることができません。上の《河原温展》が日本で開催されるのは、確かに意義深いことです。

2――活躍が期待される人物
柳 幸典

1998年というよりも、今後一層期待したい作家のひとりとして。

3――1998年はどのような変化があると思いますか
停滞の時代であって、大きな変化はほとんどないでしょう

近年に新しい作家なり動向なりがあらわれたようには見えません。今は検証の時代といえるでしょう。現代作家の回顧展が多く開かれ、美術の枠列、作家の美術への関係の仕方、その距離などがはかられているといえます。それはそれで非常に重要な時期だと思います。
川原温1
川原温「ヴェトナム」1965年
写真:東京都現代美術館
撮影:Andre Morin






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