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dddギャラリーが大阪・難波から京都・太秦へと移転&リニューアルオープン! DNP京都太秦文化遺産ギャラリーを併設

多田智美

2014年11月15日号

 2014年10月9日、DNP文化振興財団が運営する、関西の文化活動拠点「dddギャラリー」が大阪・難波から京都・太秦へと活動の拠点を移し、リニューアルオープンした。初日のプレス内覧会では、同財団理事で審査委員長を務める柏木博(武蔵野美術大学教授)から今年が初年度となる研究助成事業の審査結果の発表があった。
 京都は、神社・仏閣が数多く残る伝統と歴史のある地であることはもちろん、学術・教育施設も豊富な国際文化都市。さまざまな交流や対話を通して、ここからグラフィックデザインの新しい可能性を国内外に発信しようという試みが始動した。


dddギャラリー内観。関西を代表するグラフィックデザイナー・三木健が担当した空間構成


 関西では数少ないグラフィックデザイン、グラフィックアートの発信拠点として、長年多くのデザイナーから愛されてきたdddギャラリー(以下、ddd)。1986年に開設した東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリー(以下、ggg)に続き、1991年に西の拠点として大阪・堂島にオープン。その後、2007年に大阪・南堀江へと拠点を移し、関西を代表するデザインの発信拠点として多数の展覧会やイベントなどを企画してきた。
 大阪時代には、gggからの巡回展に加え、関西を代表するグラフィックデザイナーによる展覧会や、昨今は30代の若手グラフィックデザイナーが企画した、アジアにおけるタイポグラフィのいまを探る試みなど、空間構成もユニークな大阪ならではのオリジナル企画も展開。大阪、関西におけるグラフィックデザイン文化をじっくり育む一助を担ってきた。


2013年1月26日、大阪・南堀江で開催されたdddギャラリー第190回展覧会
GRAPHIC WEST 5「type trip to Osaka|typographics ti: 270」イベント風景


 新たな拠点となる京都・太秦は、市内西北部に位置し、時代劇撮影のメッカ・太秦映画村がある地として知られている。中心部からは少し遠い印象があるが、最寄り駅である太秦天神川駅(京都駅から約20分、三条京阪駅から約10分)出口からは徒歩3分と好立地。新たな文化・観光スポットとしての役割も期待されるのではないだろうか。以前の拠点である大阪・南堀江との大きな違いのひとつは、スペースの大きさである。展示スペースだけで180m2の広さを有し、大阪・南堀江での80m2と比較すると2倍以上の広さになる。これまで展示点数を絞って構成していたggg(展示面積158m2)からの巡回展も、そのままの内容を展示することができるという。




dddギャラリー内観


 12月20日(土)まで開催中の展覧会「THE NIPPON POSTERS」の特徴は、なんと言っても、国内におけるグラフィックデザインの歴史を6つの世代別に分類し、一挙に眺めることができる点にある。亀倉雄策や早川良雄ら国内でグラフィックデザインの黎明期を担ってきたデザイナーの作品から、田中一光や粟津潔、杉浦康平らによる、今やグラフィックデザインの手本として挙げられる作品、佐藤卓や原研哉、永井一史らベテランデザイナーの作品、これらの流れを受け世に出てきた第6世代とされる佐藤可士和や森本千絵らの作品までを間近に目にする機会は、そうないだろう。これらは長年培ってきたアーカイブの賜物であり、またdddが文化を継承していくという役割を担った、有益な機関であることの表われでもある。日本の戦後グラフィックデザイン史を俯瞰できる貴重な機会となるだろう。

 早川良雄の「第7回秋の秀彩会」ポスターには手貼りのコラージュの跡、横尾忠則によるポスターには絵の具の跡など、貴重な現物ポスターからは、印刷技術の歴史も垣間見ることができる。また石岡瑛子によるPARCOの宣伝ポスター「西洋は東洋を着こなせるか」には、モデルであるフェイ・ダナウェイによる直筆サインが。糸井重里らコピーライターと共に70年代、80年代のセゾン文化を担ってきた人々の足跡が残されている。
 また、本展では、日本を代表するウェブデザイナー・中村勇吾によるインタラクティブ映像も展示。スマートフォンから特設サイトにアクセスし、アーカイブされたポスターを画面上で切り取り投稿すると、それが会場に反映される。鑑賞者が自らの手でポスターを再構築することで、構成の楽しさやポスターの持つ面白みを再発見することができる仕組みだ。




中村勇吾によるインタラクティブ映像「RE-FRAMED」の展示風景


 dddは今後、年5〜6回の企画展を開催する「展示」、トークやワークショップなど学びの場を生み出す「教育普及」、京都のもつ国際性を生かした「国際交流」などさまざまな事業を展開していく予定とのこと。研究者ら関係者や鑑賞者が出来上がった“結果”を見聞きするだけでなく、“プロセス”にもアクセスできるような仕組みを充実させようとしている。

 また同施設には、文化遺産へのさまざまなアプローチの方法を提案する、デジタルアーカイブの技術を生かした「DNP京都太秦文化遺産ギャラリー」も併設。同ギャラリーは建物を入ってすぐに位置し、ルーヴル美術館とDNPが共同で取り組むプロジェクト「ルーヴル - DNPミュージアムラボ」、京都における有形・無形文化遺産を高精細映像で鑑賞できる「京都・文化遺産アーカイブプロジェクト」の2つの取り組みを紹介する。「ルーヴル - DNPミュージアムラボ」では、インタラクティブな鑑賞システムで美術作品の新しい見方を体験することができる。京都に現存する文化遺産の保存や継承を目的に生まれた「京都・文化遺産アーカイブプロジェクト」は、100年先の未来を見据え活動を行なう「明日の京都文化遺産プラットフォーム」との共同事業。限られた時期しか公開されない障壁画や行事などを、臨場感あふれる映像で記録・公開している。高精細複製画「伝匠美」をはじめ、DNPが培ってきた技術を結集したアーカイブも充実した新施設である。古都・京都における、新たな文化発信の拠点のこれからに期待したい。


ルーヴル - DNPミュージアムラボで開発されたインタラクティブ鑑賞システム © Photo DNP



紺碧障壁画の高精細複製「伝匠美」 © Photo DNP


dddギャラリー(2014年10月9日リニューアルオープン)

〒616-8533 京都府京都市右京区太秦上刑部町10
Tel. 075-871-1480 Fax 075-871-1267
開館時間:11:00〜19:00 (土曜日は18:00まで)
休館日:日・祝日
企画運営:公益財団法人DNP文化振興財団
URL:http://www.dnp.co.jp/gallery/ddd/

2014年度 DNP文化振興財団「グラフィック文化に関する学術研究助成」

審査結果
http://www.dnp.co.jp/foundation/grants/2014.html

京都太秦開館記念
dddギャラリー第200回企画展 DNPグラフィックデザイン・アーカイブ収蔵品展Ⅵ
THE NIPPON POSTERS

会期:2014年10月9日(木)〜12月20日(土)
会場:dddギャラリー
主催:公益財団法人DNP文化振興財団
監修:永井一正、柏木博
展示構成:三木健


(2分37秒/音声なし)


DNP京都太秦文化遺産ギャラリー(2014年10月9日開設)

〒616-8533 京都府京都市右京区太秦上刑部町10
Tel. 075-871-1481 Fax 075-871-1267
開館時間:11:00〜19:00 (土曜日は18:00まで)
休館日:日・祝日
企画運営:大日本印刷株式会社
URL:http://gallery.DNP/kyoto-uzumasa-cultural-heritage/


(1分42秒/音声なし)


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