東京・銀座のMMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)で8月末まで行なわれていたフェア「アートからはじまる、地域の魅力発見『AOMORI GOKAN アートフェス 2024』特集」に連動するかたちで、先日そのスポットを巡る旅を記録した動画コンテンツがMMMのフェア会場とYouTube上で公開されました。
いわゆるVlog(video blog)形式の動画。アートや美術館の周辺に軸足を置いて動画というかたちで発信を続けている人やチャンネル、メディアも増えてきているなかで、artscape編集部としてはほとんど初の試み。
自分も普段、一視聴者として動画やPodcastといった時間軸をもったコンテンツにはごく自然に親しんでいるものの、その制作側に回ることまではあまり想定していなかったというのが正直なところ。カメラひとつ回すにしても、写真を撮るときとは使う脳みその部位がまったく違う! という未知の身体感覚に怯んだりしつつ、良い瞬間を逃して後悔しないよう果敢にいろいろ撮っておく、という旅の体験は、暗中模索かつ高負荷ながら、それはそれで新鮮なものでした。
Vlog用のスタビライザー付きカメラ(街行く観光客がかざしているのをよく見かける)も一応持って行ったものの、その高機能ぶりにたった4日間の旅程ではいまいち仲良くなりきれず……でした[撮影:編集部]
とはいえ、世の中にすでにVlogというジャンルがある程度浸透しているいまだからこそ、心理的にも技術的にもハードルを少し下げてラフに臨めたという側面も多分にあって、その状況は純粋に豊かだなあと感じます。
普段自分たちがこのサイトで発信しているような、視覚情報がほとんどを占めるテキストベースの表現とはまったく異なる情報の質感。テロップを入れるにしても、言葉の伝わり方・響き方にも時間軸という要素が加わるだけで、良し悪しの判断基準も180度変わってくる。周囲の映像のエキスパートたちからのアドバイスをもらったりするたびに目が開かれる思いでした。
一回やってみると、たくさんのことがわかる。そういったある意味当たり前のことを普段忘れて生きているなと気づかされた今年の夏。編集部としては今回のトライで得た知見や反省も栄養にしつつ、これからも気負わずに領域を広げていきたい気持ちです。(g)