横浜美術館の学芸員である南島興氏を特別編集員にお迎えし、新企画をスタートします。全国のキュレーターの方々にお声がけし、南島氏とともに対談・鼎談を行なっていただくというものです。そしてそのようすを、音声コンテンツの形式で配信していきます。おおよそ季刊のペースで公開する予定となっており、本ページにて各回のエピソードをアーカイブしています。なお、肩書きは収録当時のものです。(artscape編集部)

南島興|ミュージアム外のインターネットラジオ(ステートメント)

南島興|ミュージアム外のインターネットラジオ(ステートメント)

こちらは本企画に寄せるステートメント記事です。音声コンテンツ企画立ち上げの経緯から意気込みまでを、ホスト出演者である南島興氏にお書きいただきました。artscape30年の歴史をひもときながら企画される「ミュージアム外のインターネットラジオ」。ご期待ください。

[第1回]「働きたくない」?──ミュージアム外での活動と労働について

[概要]

第1回となる今回は、南島興氏(横浜美術館)と同年代の学芸員2名をゲストにお呼びしました。ふくやま美術館(広島県)の筒井彩氏と渋谷区立松濤美術館(東京都)の木原天彦氏です。「あなたが個人としてやりたいことはなんですか?」という南島氏のラフな問いかけから始まり、後期資本主義における美術館学芸員を取りまく労働の状況があぶり出されていきました。そこから展開するかたちで話題に上がったのは、組織的にふるまうのではなく、ひとりでまかなえる範囲、いわゆる「ワンオペ」で活動を完結させることの意義やアマチュアリズムなど、興味深い論点の数々でした。

 

[ゲスト出演者]

筒井彩(ふくやま美術館

木原天彦(渋谷区立松濤美術館

[ホスト出演者]

南島興(横浜美術館

 

[論点]

・学芸員としてではなく個人としてやりたいこと([2:13])

・artscapeという媒体の特性とインターネットラジオ([31:55])

・「働きたくなさ」と、それが示唆する制度批判([38:13])
・ワンオペレーションでできる範囲の活動([54:10])
・アマチュアリズム再考([1:36:38])

[公開日]
2025/01/15

[第2回]いまをアーカイブする『だえん』の活動

[概要]

第2回目の「ミュージアム外のインターネットラジオ」は、南島興氏(横浜美術館)がホストを務め、2025年に美術年鑑『だえん』を刊行した編集メンバーの鈴木萌夏氏と石田裕己氏をゲストに迎えました。番組は対面収録で行なわれ、和やかな雰囲気のなか、創刊の経緯や編集体制の工夫、雑誌に込めた問題意識などが話されました。また『だえん』は、若手美術家の言葉や美術史には残りにくい同時代的な情報までをも記録し、未来の読者に資するアーカイブとしての役割を重視していることが語られました。

 

[ゲスト出演者]

鈴木萌夏(『だえん』編集部)
石田裕己(『だえん』編集部)

 

[ホスト出演者]

南島興(横浜美術館

 

[論点]

・はじめに──『だえん』刊行の経緯([00:00])
・だえんの形式の特徴──分量たっぷりの「クロストーク」([14:45])
・読者との共通前提がないという前提([31:24])
・いまをアーカイブする──単一の中心なき「楕円」というコンセプト([47:14])
・未来の読者からどう読まれるか([1:03:34])
・芸術労働者(アートワーカー)としての主体性をいかに取り戻すか──キュレーションとの距離感([1:29:53])
・本人の言葉があまり残っていない取材対象者を誌面に呼ぶこと([1:41:00])
・同人活動とギャランティ([2:05:00])

[公開日]
2025/07/07