府中市美術館にて、2000年の開館当初から開催されているアーティストによる公開制作。第92回は、画家 栗原一成の公開制作が行なわれます。
栗原は、30年ほどの長きにわたって、絵を描いてきました。その画面には、風景のような形や、文字の連なりにも見える線が、鮮やかな色彩を伴って、ぎっしりと描き込まれています。いつどこで始まり終わるのか、捉えどころがなく、また時間と空間が混沌と混ざり合っているかに感じられます。
近年栗原は、哲学対話に積極的に参加しています。彼は参加者たちの対話を聴きながら手を動して描き、同時に対話に加わります。制作と思索、手と目が絡まり一旦絡まり、そこから一本の糸の端が引き出されるようにして、哲学的思考が生まれます。
今回の公開制作で栗原は、板とキャンバス(布)の両方を用意して、その上に描いていきます。板とキャンバスの画面は違うが、同じでもある、と栗原は語ります。異なる物質が、描きの途中で、物としての意味を無化されていく。そこでは意味にしばられない自由が得られ、彼が絵筆を動かす原動力を生み出しているのかもしれません。
<栗原一成>
1967年神奈川県生まれ。1995年多摩美術大学大学院美術研究科修了。1990年代半ばから作家活動を始める。展覧会やパフォーマンス等を独自に開催する場である、オルタナティブスペースの運営を継続して行なう。絵画制作に対する哲学的態度は、哲学者たちと行う「哲学対話」でさまざまな問いと回答を引き出してもいる。
■公開制作
日時|4/26(土)、4/27(日)、5/4(日)、5/31(土)、6/1(日)、6/14(土)、6/15(日)、7/12(土)、7/13(日)、8/2(土)、8/3(日)、8/16(土)
*いずれも12:00〜17:00
■作品展示
日時|8/23(土)〜9/7(日)
*土日の13:00〜17:00までは、府中市美術館普及員によるガイドがあります。
関連イベント
■哲学対話「画家と一緒に哲学対話・Art & Philosophy」
画家がライブペイントを進行する空間で、哲学者がファシリテーターとなり、美術に関わる哲学対話を行ないます。
日時|6/28(土)13:00〜16:30
会場|創作室
定員|24名(対話参加者12名、見学のみ12名)*事前申込制
対象|中学生以上(一般の方も歓迎)
講師|田坂さつき(立正大学文学部哲学科教授)、木原志乃(國學院大學文学部哲学科教授)、栗原一成(画家)
申込締切|6/12(木)まで(必着)
*詳細はこちらをご覧ください。
■アーティストトーク
ライブペイントを共同で行なうなど、絵に対しての思いを共有する同世代の画家を迎えて、対談形式で行なわれます。
日時|8/30(土)14:00〜
会場|講座室
ゲスト|石田尚志(美術家)
定員|60名(先着順/予約不要/当日会場まで)
参加費|無料
*詳細はこちらをご覧ください。
会期:2025/04/26(土)〜2025/09/07(日)
会場:府中市美術館 1階 公開制作室(東京都府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内)
開館時間:10:00〜17:00
休館日:月曜日(5/5、8/11は開館)、5/12(月)〜5/24(土)、7/14(月)〜7/25(金)、8/12(火)
観覧:無料
問い合わせ先:文化スポーツ部美術館
TEL:042-336-3371 E-mail:bijyutu01@city.fuchu.tokyo.jp
公式サイト:https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/koukaiseisaku/kokaikaisai/ops92_kurihara.html