会期:2025/04/13~2025/10/13
会場:大阪・関西万博[大阪府]
公式サイト:https://2025-japan-pavilion.go.jp/

大阪・関西万博に行ってきた。最初は複雑な予約システムに翻弄されたが、アプリとIDを取得して7日前抽選に申し込んだところ、人気の「日本館」と「イタリアパビリオン」に運良く当選し、意気揚々と出かけていったのである。当日はその他のパビリオンも会場内の端末機で予約を取ったり、列に並んだりしていくつか観たが、やはり上記の2館は格別だった。というわけで、本稿では日本館について取り上げる。

日本館は、何といってもデザイン面で非常に優れていた。総合プロデューサー/総合デザイナーをnendoの佐藤オオキが務めたというのも頷ける。いまの時代に最も問われている地球環境の問題に対し、「循環」という大きなコンセプトを掲げ、そこに日本独自の技術や文化の紹介を織り交ぜながら、すべてが洗練されたテイストでまとめ上げられていたのだ。展示は「Plant」「Farm」「Factory」の3つのエリアに分かれていたのだが、最初の「Plant」で「ごみは、いのちのはじまりだ」というキャッチコピーにまず心をつかまれる。つまり生ごみを発酵させることで電気を生み出し、その力で排水をきれいな水に変え、水や排出されたCO2が次なる命を育んでいくというストーリーになっていたのである。ごみを起点とした循環の仕組みや微生物の働きを、実にキャッチーなインスタレーションで見せていた。

「日本館」展示風景 大阪・関西万博

次の「Farm」では水が育む命として藻類が展示の中心となる。海に生息する植物、藻類の秘めたる力を、これまたキャッチーなインフォグラフィックによって伝えていた。加えて日本を代表するキャラクター、ハローキティを起用した32種類の藻類の紹介には舌を巻いた。個性が立った愛らしいキャラクターを、展示空間のイメージを壊すことなくここまでうまく生かすとは。そして最後の「Factory」では日本のものづくりの特徴を伝える。壊れやすくつくることで、直しやすくするといった「やわらかいものづくり」の実態を、今度はドラえもんをナビゲーターにして紹介していく。このように3エリアを通して「ごみ」から「水」へ、「水」から「素材」へ、「素材」から「もの」へという大きな循環を分かりやすく、飽きさせず、見事に描ききっていた。何よりホスト国の名に恥じない展示内容だったことを誇り高く思う。

「日本館」展示風景 大阪・関西万博

「日本館」展示風景 大阪・関西万博

「日本館」展示風景 大阪・関西万博

鑑賞日:2025/06/23(月)