会期:2025/11/21~2025/12/20
会場:TARO NASU[東京都]
公式サイト:https://www.taronasugallery.com/exhibition/current/

六本木・TARO NASUで写真家ホンマタカシの個展「2025年のホンマタカシ」が開催された。

ホンマは近年、映像作品『2019年の磯崎新』(2023)のように年と名前を紐づけたシンプルなタイトルを好んで使っている。写真や映像をテーマのある作品としてまとめ上げるというよりも、ひとまず時間によって仮留めしてみたという感じがあり、必ずしも美術作品とイコールで結びつくわけではない写真の側面に注目しているように見える。例えば本展は複数のシリーズ写真からの抜粋によって構成されているが、その一枚一枚をホンマという写真家が通過した時間の記録として見直す機会ともなっている。


「2025年のホンマタカシ」展会場風景[以下すべて、筆者撮影]

難民となった人の生活空間、ぬいぐるみが置かれている部屋、ファッション雑誌の表紙となった写真、福島やフィンランドでも撮影していたキノコ、海。会場にはホンマが手がけてきたシリーズ写真の断片が散らばっている。サイズや額装の有無、その方法もまちまちで、海を写した大きなプリントの隣では、海岸での撮影風景を捉えた小さなフィルム写真が透明のアクリルで丁寧に包まれている。著名人を撮影した「Portrait of J」はスライドで上映され、街で録音したと思われる音──宙吊りになった動くマイクによってゆるやかに遠近がゆらぐ──が反響する空間で鑑賞できるようになっていた。


「2025年のホンマタカシ」展会場風景

それらの写真は2025年のホンマが携わったと思われる一方で、すべてがこの年に撮られたわけではない。途切れることなく続く時間軸のなかで仮留めされた写真がマルチプルなキットを構成するように集められている。TARO NASUのガラス張りのミーティングルームの奥にはヴィトンのボストンバッグが置かれ、ギャラリーに出入りするヤマト運輸のスタッフの緑色の制服もホンマの写真に馴染んでいる。2025年に規定されない東京らしさを感じる空間のなかで、時代を問わない強度を持った写真群が展覧されていた。

鑑賞日:2025/12/02(火)