複数の作家が同一作品の制作に携わる作業形態の名称。同一作品とはいえ、あくまでもそれぞれの参加者の作家性が確保されていることが「共同作業」の前提であり、したがってそのパートナーは必ずしも美術家に限定されず、むしろ文学、音楽、建築など、異分野の作家との共同作業を指してコラボレーションと呼ぶことが多い。もっとも、美術家が装置を、音楽家が音響を担当する演劇や映画のような総合芸術とは異なり、あくまでも造形表現として成立していることもコラボレーションとしての重要な一側面である。現代美術においてコラボレーションが注目を集めるのは1970年代、オルタナティヴ・スペースを舞台としたパフォーマンスが台頭して以降のことであり、この新たな表現領域は、当時絵画の世界で興隆しつつあったネオ・エクスプレッショニズムと、音楽における最新流行であったニュー・ウェイヴを媒介するかたちで、多くのコラボレーションを実現、1980年のタイムズ・スクエア・ショーは「コラボレイティヴ・プロジェクツ」とも呼ばれた。日本で言えば、古くから行なわれている展覧会場における詩の朗読などが、コラボレーションの一例として挙げられるだろう。
(暮沢剛巳)
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