適当な割合で混ぜると薄ネズミ色となり、並べておくと鋭い対照をなす二つの色相を互いに補色であるという。彩度が高いほど補色間の対照性は増し、近づけるとちらついて見える。原色の補色は他の原色の2色を混ぜ合わせて作られる。例えば赤色の補色は緑色で、これは黄色と青を混ぜて作られる。補色の対照性は色彩構成の効果を強調するために古くから美術作品に用いられてきたが、これを初めて科学的に使用しようとしたのは、スーラら点描主義の画家たちであった。点描主義の画家たちは残像の投射効果を応用して外界の可視物にまでその効果を及ぼそうとした。20世紀の「オプティカル・アート」の作家たちは彩度の大きい色彩面を並置することによって、色面が細かくふるえるような効果を生みだした。この効果は実際の色面とその残像の補色との間に強い対照性が生まれているためにもたらされる。
(山口美果)
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