「構成(composition)」を有する彫刻を指す。M・フリードがミニマリズム/リテラリズムの彫刻に対し、A・カロ等の彫刻を区別、評価するべく用いた概念。ここで言う「構成」とは、観賞者が立ち入ることのできる空間を構成する、という意味で用いられている。フリードは、D・ジャッドに代表されるミニマルズム/リテラリズムの彫刻があくまでも視覚に支えられるものであり、立ち入ることのできない、逆説的に言えば「からっぽ(hollow)」であるとし、その特性を「劇場性(thearicality)」と呼びミニマリズム/リテラリズムの芸術性を否定した。グリンバーグの流れをくむフォーマリズムの彼にとって、彫刻はあくまでも「内部空間(internal
space)」を有するものであり、そのため空間を生じさせる「構成」が彫刻には不可欠なのである。彼は論文「芸術と客体性(Art and Objecthood)」(1967)で「客体性」を批判した。「構成」は、その「客体性」を打破したイリュージョンを成立させる契機として捉えることができる。そして、フォーマリズム彫刻の超克として位置づけられる、ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュアに代表される80年代以降の彫刻に対しては、この「構成」概念の再構築といった側面を特徴づけることができる。
(保坂健二朗)
関連URL
●A・カロ http://www.groundsforsculpture.org/c_acaro.htm
●D・ジャッド http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/d-judd.html
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