光沢のある紙の上に、黒のグアッシュで描いた図柄を圧力をかけて転写する技法。シュルレアリスムの作家O・ドミンゲスは、18世紀のイギリスにおいて陶器やガラスの絵付けのために開発されたこの技法を用い、支持体への彩色がどのような効果をもたらすのかに着目した。偶然に左右される部分が大きいこの技法は、その後M・エルンストによってさらに開拓され、現在では「オートマティズム」の理念と相補的な関係にあるものと評価されている。日本でいち早くこの技法に注目した批評家瀧口修造は、その偶然性がもたらす“滲み”や“染み”のような効果を愛好して自らもこの技法を活用した作品を制作した。また加納光於はこの技法を「インタリオ」と呼ばれる腐蝕銅版画の制作技法へと応用、同様の効果を演出してみせた。
(暮沢剛巳)
関連URL
●エルンスト http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/m-ernst.html
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