「青騎士(青い騎手)」。意見の相違から新芸術家協会を脱会したW・カンディンスキー、F・マルクらを中心に1912年ミュンヘンで創刊された芸術雑誌名、または総合芸術を目指して同誌を中心に活動した国際的な芸術家集団を指す。名称はカンディンスキーの作品「青騎士」に由来。フォーヴィズムを出発点に独自の表現主義的抽象芸術論を展開したカンディンスキーを理論的支柱とする。物質世界から切り離した色彩や形態という造形要素によって、人間の内的衝動を表現するための精神的な意味を追求した。11年から14年にかけて内外の芸術家を招いた展覧会を開催、同時期の前衛芸術に加えて幼児や未開地域のプリミティヴ・アートも「内的必然性」をもつ作品として積極的に紹介した。14年の第一次大戦勃発によって解散するが、その芸術理念はバウハウスが継承、現代美術に重要な影響を及ぼした。ほか、A・マッケ、P・クレー、A・クビーンなどが代表的芸術家。
(暮沢剛巳)
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