別名ランドアート。1960年代末のアメリカで発達した、自然を直接の制作素材とする表現様式。美術館への収蔵が不可能なため、もっぱら写真を通じて鑑賞するその形態は、69年のドゥレ画廊での観展で認知された。代表的な作家としては、ユタ州の湖沼に巨大な「螺旋状の突堤」を築いたR・スミッソンやネヴァダ州の大地に「円形の地表」を刻んだM・ハイザー、あるいはN・ホルトやD・オッペンハイムらがいる。人間と自然の交感をテーマとしている点では一種の環境芸術と言えるが、この運動に加担した作家はほとんどが「ミニマリズム」の出身であり、また現象学や場所論を理論的支柱としている点では同時代の「アルテ・ポーヴェラ」とも共通していて、この形態がベトナム戦争等の背景をもつこの時代との密接な同調のもとに発達を遂げたことがわかる。大規模な土木作業を必要とするため、一部に自然破壊との批判もあり、また理解者の金銭的支援が受けられなくなった70年代には後退。日本語で読めるこの動向のまとまった紹介文献としてはJ・バーズレイの『アースワークの地平――環境芸術から都市空間まで』(三谷徹訳、鹿島出版会、1993)がある。
(暮沢剛巳)
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