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実用音楽 Gebrauchsmusik


「使用するための音楽」の意。1925年にH・ベッセラーがはじめて定義した言葉で、社会的に有用であることを目指したもの。より具体的にはアマチュアの参加を可能にすることを目的として作られた音楽を指す。映画のための音楽、ラジオのオープニング・ミュージックなども含まれる。主観性を過度に追求する表現主義や、いわゆる「芸術のための芸術」への反動のひとつと言えよう。時期的には新即物主義バウハウスと並行する。実用音楽の特徴は、単純明快で、演奏が容易であること。代表的な作曲家としては、P・ヒンデミット、K・ヴァイル、E・クシェネクらが挙げられるが、ヒンデミット自身はこの言葉を冠されることを嫌い、認知しなかったと伝えられる。もともと「実用音楽」は、芸術上のスローガンのように確固たる方向性をもつタームというよりは、ジャーナリスティックな色彩が強い言葉。

(川那聡美)

参考文献
P・ヒンデミット『作曲家の世界』(佐藤浩訳、音楽之友社、1999)
H・H・シュトゥッケンシュミット『現代音楽の創造者たち』(吉田秀和訳、新潮社、1959)

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