一般には「作品の意味を抽出し説明すること」と定義される行為。「時代背景を重視する」、「他の作品との関連によって説明する」、「作品のなかに登場する『記号』を読み解く」などさまざまな手法が存在するが、一番大きな分岐点は、抽出された意味を作品に固有のものとみなすか否かだろう。前者の立場ではひたすら「作者」の天才性が特権化され、後者の立場ではヘーゲルの歴史哲学などを踏まえて、「作者」の背後に「国家」や「民族」などの物語を見ることになる。E・パノフスキーらの「イコノロジー」モダニズムは、両者の視点を折衷した代表的な成果だが、どのような「解釈」がもてはやされるかは、同時期の思想や文学理論の傾向と極めて密接な関係にある。また、アカデミックな美学美術史の研究者と現代美術を専門とする批評家の役割がほぼ完全に分割されてしまった現代では、そうした制度上の立場の差異が、同一の作品を前にした「解釈」の相違に直結してしまう場合も珍しくなく、「解釈」の定義もまた大きく揺らいでいると言える。
(暮沢剛巳)
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