一般に1920年代のアメリカを指す。ローリング・トゥエンティーズ、レザネ・フォルともいう。この時代の寵児であったスコット・フィッツジェラルドは、1919年メーデーの暴動から29年の暗黒の木曜日までの「芸術」と「過剰さ」の時代をジャズ・エイジと捉えた。またこの時代は、大戦間期、アール・デコ期の前半とも重なる。アフリカをルーツとする音楽とヨーロッパをルーツとする音楽が衝突した結果今世紀初頭に生じたジャズが、好景気に沸く「狂気と祝祭」の時代、19世紀的な道徳を否定する享楽的で刹那的な価値観の時代のリズムとなった。ダンスが流行し、社会進出していく女性のための新しいファッションが生まれた。またスカイ・スクレーパーが林立する中を自動車が駆け抜ける時代、機械とスピードを賞賛するマシーン・エイジとも一致している。大量生産、大量消費の始まりは同時にマスメディア、マスカルチャーの誕生でもあり、流行という強迫的概念が定着し、現代生活のプロトタイプが成立したのはこの時期であった。
(井伊あかり)
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