一般には「マスカルチャー」と呼ばれることも多い「大衆文化」全般の総称。「サブカルチャー」と呼ばれる際には、社会を上部構造/下部構造に大別した場合の後者に即応することになり、前者と対応する「ハイカルチャー」との対比が強調されることになる。このような概念の由来が示すように、「サブカルチャー」は一貫して「ハイカルチャー」の側から蔑まれ、一段低いものとみられてきた。大衆の圧倒的なポピュラリティは、安易で一過性の娯楽にすぎないことの裏返しというわけだし、また演劇→映画→テレビやクラシック→ジャズ→ロックという発達の系譜や、今なお根強く残るマンガやアニメーションへの偏見は、「サブカルチャー」への蔑視が作品そのものの質以上にそれが発表されるメディアにも大きく由来していることがわかる。ただし、上部構造/下部構造の関係が絶えず流動的であるように、「ハイカルチャー」と「サブカルチャー」の関係もまた固定されたものではありえない。古くから存在するパロディは両者の関係を問う表現形態と言えようし、また1960年代のポップ・アート以降の現代美術の展開は、決して「サブカルチャー」抜きに語ることはできないのである
(暮沢剛巳)
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