「パロディ」の語源は真似歌を意味するギリシャ語「paroidia」にあり、他者の作品を風刺的に真似る慣習自体は古くから存在していたことがわかる。美術においても、ルネサンス期に習作や模写がディシプリンの一環へと組み入れられて以来、「パロディ」は「オリジナリティ」との並行関係で発達を遂げ、20世紀に入ってからは「コラージュ」や「アサンブラージュ」という格好の表現を開拓した。他者の表現を引用することが剽窃にあたるかどうかは微妙な問題だが、S・ジョンソンは「他者の作品を引用し、それとは別個の文脈に位置付けること」に「パロディ」の核心を見出して明確に区別している。さまざまなメディアが発達した現在、「アプロプリエーション」が尖鋭化するなど、「パロディ」の在り方も同様に多様化しているが、とりあえずポストモダニズム以降と位置付けられる現在の思潮のなかで、「パロディ」を定義し直す作業がなされている。L・ハッチオンの『パロディの理論』(辻麻子訳、未来社、1993)はその代表的著作であろう。
(暮沢剛巳)
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