絵画における【色彩】の相互関係や対比による空間構成を指す美術用語。色価(ヴァルール)という。この語の意味は絵画史とともに多少変化している。近代以前の絵画では、色彩の明度対比による空間表現のことをもっぱら指す。ある対象を描く際、遠景となる部分には暗い色を、近景となる部分には明るい色を用いることによって、対象の距離や奥行き、立体感を描き出したが、それは色彩の明度を対比させることによって、キャンヴァスという一定の2次元平面のなかに3次元的な空間表現を創出するものであった。一方、印象派以降の絵画では、明度のみならず色彩の基本的属性である色相や彩度なども含み、より広義の意味において使用されるようになる。色彩相互の配置、調和関係などによる画面構成一般をも意味する。
(平芳裕子)
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