アーティストが撮影・制作したヴィデオ作品の総称。1965年にフルクサスのアーティスト、N・J・パイクがニューヨークのカフェ・ア・ゴー・ゴーで上映した作品を最初のヴィデオ・アートと見なすのが定説。「パフォーマンス」や「イヴェント」を収録したり、通常のテレビ電波にヴィデオをオンエアしたりと、アーティストによってその表現の内容や形態は極めて多岐にわたるが、パイクをはじめ、A・ファーム、B・ナウマン、W・ヴァスルカらの第一世代はいずれもヴィデオ・アートをコンセプチュアル・アートの一環として考えていたのに対し、ヴィデオをアーカイヴと考えるA・ムンタダスなど、第二世代のアーティストはまた違ったアプローチからその可能性に取り組んでいる。この相違には、80年代以降家庭用VTRが普及し、ヴィデオを観ることが日常的経験となったことも大きく影響している。日本では第一世代としては山口勝弘や中谷芙二子ら、さらに若い世代では藤幡正樹らの作家が著名だが、「グランド・ファーザー」と呼ばれ、84年の個展が大きな注目を集めたパイクが若手作家に与える影響は、やはり極めて大きい。WWWが普及し、メディア・アートの変質が不可避となった現在、今後の展開が注目されている領域でもある。
(林卓行)
関連URL
●ナウマン http://www.artnetweb.com/guggenheim/mediascape/nauman.html
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