横浜市港南区の上大岡駅周辺で進められた再開発に取り入れられたアート・プロジェクトの総称。同地区は、京浜急行線と鎌倉街道が平行して走る交通の要衝であり、新しく建てられたターミナルビルには百貨店、商店街、オフィス、区民ギャラリー、コンサートホールなどが入居している。「みなとまち文化」「アートシティ横浜」の市是のもと、ポートサイド地区などでもパブリック・アートの設置を進めてきた横浜市は、今回の上大岡再開発でも1995年にその導入を決定、ちょうど同年に「新宿アイランド」を完成させた実績を持つインディペンデント・キュレーターの南條史生にコンサルティングを委託した。南條は、この計画の実施にあたって「日本とアジアの若手作家を中心とする」「作品はすべてコミッションワークとする」「土地の歴史や生活に配慮する」などの条件を設け、結果として村上隆や奈良美智など、今までパブリック・アートを手がけた経験がなかった作家が起用された。なかでも、ターミナルビルの屋上に据え付けられた吉水浩の《Bloom》は、日本でも最大の彫刻作品である。なお、97年に完成されたこのプロジェクトの記録は、『SD』の別冊30号(鹿島出版会)に詳しくまとめられている。
(暮沢剛巳)
関連URL
●横浜市 http://www.city.yokohama.jp/
●『SD』 http://www.kajima.co.jp/group/publish/
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