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「メモリー〜映画・映像の文化〜」展
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kyouiku/bunkabu/rekisi/naiyou/tokuten/tokuten.htm
毛利義嗣[高松市歴史資料館]
 
福島/木戸英行
倉敷/柳沢秀行
高松/毛利義嗣

 久々に自館での企画の紹介です。最近水戸でやっていた展覧会とタイトルがややカブってしまってますが、内容的にはあまり関係ないでしょう、たぶん。映像を使っているアーティスト・映像作家の作品を展示・上映するグループ展で、作家は、和泉希洋志、宇川直宏、大木裕之、河瀬直美、中ハシ克シゲ、中山ダイスケ。それぞれが関係あるようなないような不思議なチョイスだと思われるでしょうが、「高松市歴史資料館」ということで、とりあえず高松・香川ゆかりの作家なわけですよ、これが。河瀬さんと大木さんは県内でロケした作品を何本か撮っていて、あとの人たちは香川県内の生まれ。企画者が言うのもなんですが、結構な人材がいるものだなあと、思いました。
ということで、出品作品からいくつかピックアップを。

和泉希洋志「UR SKY」
 去年の「オプ・トランス」展(キリンプラザ大阪)では立体の作品を出してた和泉さんですが、これは、ビデオクリップやCGなどを素材に、コンピュータ上で動くアプリケーションとして再構成したもの。仕込まれたポイントをマウスでクリックすることで、画面を操作できたり音や映像が切り替わったりする仕組みになってます。クールです。もうひとつは新作のペインティング「Before the eruption」のシリーズ。いろんなイメージのコラージュといっていいんでしょうが、キャンバス、というかテント地様の布に描かれていて、あちこちがファスナーでつながれていたり、切り裂かれたようになったりしてます。この作品、和泉さんが不在の時にアトリエに拝借しに行ったんですが、お父様がいらして、「こんな切れ切れのでええんかゆうても、これでええんや、これがええんやいうんやけん、しょうがないんじゃ。」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。

宇川直宏「DAILY MUSIC CLIP」
 何だかすさまじくいろんな活動をしている宇川さんですが。この作品のために、アトリエから千数百本のビデオテープと十数台のラジカセやラテカセを運んできました。余談ですが、そのアトリエでは「足の踏み場もない」という状況を比喩ではなく体験できます。ちなみにラテカセというは、70年代後半に登場したラジオとテレビとカセットレコーダーが一体になったアレですね。そのラテカセたちのモニターに、テレビ放送やビデオから取ったいくつかのシーン(たぶんボアダムズとか石立鉄男とか)を細かくカットアップした映像を流し、全体がひとつのミュージッククリップとなるようにして、大量のビデオテープといっしょに会場の大型陳列ケースの中に展示します。このあたりでどおおおおでしょおおおかっっっ。。 ヤバイ映像になるのは実験済みDEATH!!!!!!!!!! (c)ukawa

大木裕之「デジヤマ・デジタマ・デジママ・デジマタ・マ」
 さっき(7/22夕方)、金髪モヒカンの大木さんがスケッチブックを何冊か持ってきてくれました。「デジ」シリーズ関連のスケッチで、会場で「デジ・シリーズ」の映像といっしょに展示します。大木さんの場合、映像以外の造形的な作品はそんなにたくさん作っているわけではなくて、他の作家に比べるとモノとしてはちょっと少ない、ので、会期中に適宜追加することになりそうです。「デジ」シリーズもそうですが、一編の映画・作品として固定しないで変化し続ける、というのがミソです。それと、映画はやはり映画会で、ということで上映会します。8月24日(土)午後1時から、作品は新作「G8」(16ミリの編集が間に合えば)と「優勝−Renaissance」、もちろん監督も来場予定です。ちなみに「優勝」は四国各地でロケしたもの。

河瀬直美「なおみのレア・アイテム」
 5月にBS2で放送された河瀬さんの『A Letter from 桜』を見ました。写真評論家の西井一夫さんがガンで亡くなる前の2ヶ月ほどの姿を本人の依頼で撮影した作品なんですが、これほど、個人の社会性とか物語とかを見せないドキュメンタリーも稀なものです。カメラを向けられた病床の西井さんは、その場その時に徹底して個人であると同時に、個人を超えた普遍的なものに半ば昇華されているようにも見えました。宇川さんとは違った意味でヤバイ映画作家です。で、その河瀬さんもメインは映画上映会ですね。9月8日(日)午後1時から、上映作品は「かたつもり」と「万華鏡」、こちらも監督、来ます。で、ギャラリーの方では、映画以外の演出作品(CMとかプロモーションビデオ)の上映と、あと映画製作で使ったいろんなアイテムを展示します。台本とか、絵コンテとか、タイトルクレジットとか、写真とか、製作ノートとか、チラシとか、母子手帳とか、いろいろです。直美ファン、映画ファンには必見でしょう。

中ハシ克シゲ「4月5日」
 これは、98年に伊丹市立美術館で最初に発表したものです。公園の桜の木と青いビニールシート、日本の年中行事におなじみの組み合わせですが、そこで中ハシさんは、夜明けから日没まで延々と、ビニールシートおよびその上に舞い落ちる花弁を接写し続けたのでした。そうして撮影した約3000枚の写真を、今度は展示室の床に並べて貼り合わせてシートを再現し、それに加えて、接写している様子を撮影したビデオを会場で流す(これは、ビデオの中で流れる時間と現実の時間、今回だと開館時間である9時から17時の間、時刻をぴったり合わせて上映される)、という根気のいる作品です。見る分には根気はいりませんが、なぜ「桜」なの、とか、なんでわざわざ手作業で、とか色々考えてみたいものです。

中山ダイスケ「FULL CONTACT」
 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で中山さんの個展があった時に、関連イベントで小学生対象のワークショップをやってました。自分を模した等身大の人形を紙とかで作り、そのあと、仮設のリングでそれを相手に殴り合うという趣向です。嬉々としてレフリー役をしていた中山さんも印象的だったのですが、まあ、自分が作った自分に似せた人形を自分で殴って壊す、というのはなかなかにタブーな感じで、派手な破壊行為はあまりなかったわけです。で、「FULL CONTACT」もそうですが中山さんの作品というのは、暴力とか破壊とか寸止めなしの接触とかそのものではなく、それがありそうなギリギリの間合いというか、指の間とか腰の後ろあたりがムズムズする感じというか、そういったところが美点であるなあと思ったものでした。

というわけで展覧会の宣伝だけのようになってしまって、もおおおおおおおしワケないっすすうすすす!!!! 何卒4649DEATH!!!!!!!!!!! (c)ukawa (しつこい)。

上左:「メモリー」展ちらし 上右:和泉希洋志「UR SKY」
下左:中ハシ克シゲ「4月5日」撮影風景 下右:宇川直宏「DAILY MUSIC CLIP」

会期と内容
会期:2002年8月3日(土)〜9月16日(月・祝)9:00〜17:00(入館は16:30まで)金曜日は19:00まで(入館は18:30まで) 月曜日休館(休日の場合は翌日)
会場:高松市歴史資料館 香川県高松市昭和町1-2-20 
URL http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kyouiku/bunkabu/rekisi/
入場料:一般300円/高・大生200円/小・中生100円
問い合わせ先:tel. 087-861-4520
 

[もうり よしつぐ]

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