「ダブル・リバー島」は曽根の理想郷とでもいうのだろうか。2本の川が山から海へ流れこみ、山ではスキーやスノーボードができ、海では波乗りも……楽園のような場所である。まずエントラスでは雪ダルマが私たちを出迎えてくれる。白い大きな壁を越えると向こう側はまるでジャングル。約800鉢の観葉植物で埋め尽くされた展示室では、葉をかき分けながら、97年以降の作品群に遭遇することになる。《アミューズメント・ロマーノ》と名づけられた巨大な滑り台型の立体が中央に位置し体験できる(調子に乗って滑っていた私は肘を擦りむいた)。以前屋外で展示したときはレンガ色だった側面を、室内で展示する今回は空の色をイメージしてブルーにしている。夕方になるとコウモリのドローイングの下に隠されたモニターが出てきて、コウモリの大群が移動する様子が映し出される。コウモリが実際に飛ぶ時間に合わせてしか上映されない。夢か現か……そんな境界線を楽しむことができる。 [7月6日(土) 原久子]