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アート・マネージメント

Art Management
更新日
2024年03月11日

アーティストやアート作品に関わる作業・業務全般のこと。ユネスコが1966年に採択した「国際文化関係の原則に関する宣言」によると、「芸術・文化は、公共的な財であり、すべての文化はそれぞれの尊厳と価値を有し、その多様性、相違、相互作用のゆえに、人類の共通財産として尊重されなくてはならない」と書かれている。日本では、文化財の保存・修復を目的として68年に文化庁が設立された。80年代以降になって、芸術・文化の振興が新たな行政分野として取り上げられるようになり、「アート・マネージメント元年」と呼ばれる90年以降、官民問わず芸術・文化に関する施策が増えていった。例えば美術においては、美術館や画廊での個展やグループ展だけでなく、街の中でのアート・イヴェントや作品売買を目的としたアートフェア、作家が滞在・制作をするアーティスト・イン・レジデンスなどさまざまな手法や場所で発表するようになった。また作品自体も絵画や彫刻という形態にとどまらず、映像やインスタレーション、パフォーマンスなど形態が広がったこと、また、他の人との協力を制作する方法のものも増えている。こうした多様化する芸術・文化事業に対して、作品制作、設置・展示といった作業から、展覧会企画、作品売買および著作権管理、作家のマネジメント、広報・宣伝、経理といった業務まで、アート・マネージメントの内容も幅広いものになってきている。同時に近年では、アート・マネージメントに関する授業やコースを設ける学校も増えてきている。

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補足情報

参考文献

『アート・マネジメント』,慶應義塾大学アート・センター編,慶應義塾大学アート・センター,1998
『アートマネージメント』,伊東正伸、岡部あおみ、加藤義夫、新見隆,武蔵野美術大学出版局,2003
『これからのアートマネジメント ソーシャル・シェアへの道』,中川真、フィルムアート社編集部編,フィルムアート社,2011