『アール・プレス』
- art press(仏)
- 更新日
- 2024年03月11日
1972年創刊のフランスの月刊美術雑誌。創刊者、初代編集長はパリ・ビエンナーレでキュレータを務めたカトリーヌ・ミエ(1948-)。フランスでは60年代後半から70年代にかけて『オプス・アンテルナショナル』や『クロニック・ド・アール・ヴィヴァン』などの美術雑誌が創刊されたが、その背景には68年の五月革命に発展する資本主義社会と戦後文化に対する深刻な認識があった。芸術家や学生は同時代の闘争的な空気感のなかで芸術、芸術家、非芸術、反芸術についてラディカルな問題提起を行ない、〈アーティスト〉の社会的機能や政治的立場を問い直した。現代美術の動向を現場から伝え、情報誌、批評誌として、アーティスト、キュレーター、ディーラーへのインタヴュー、書評、時評、展覧会評、特集記事、美術市場欄、イヴェント情報、またダンス、演劇、建築など同時代の芸術現象に関する記事を掲載。92年から二カ国語併記(仏/英)。2006年5月に季刊誌『アール・プレス2』(二カ国語併記)を創刊し国内外の美術動向や時事的議論を取りあげる。発行部数48,000部。他誌が廃刊となるなかで『アール・プレス』が美術市場に影響を与えるメディアに成長したのも、アート・イヴェントの紹介にとどまらず同時代の芸術現象を社会的視野から自覚的に切りとってきた編集姿勢の成果だろう。
補足情報
参考文献
『カトリーヌ・Mの正直な告白』,カトリーヌ・ミエ(高橋利絵子訳),早川書房,2001
L’art contemporain en France,Catherine Millet,Flammarion,2005
L’art contemporain – Histoire et géographie,Catherine Millet,Flammarion,2009