ヴィトラ社

1950年にスイスで創業した家具および室内装飾品の製造販売メーカーであり、現代を代表するインテリア・ブランドのひとつ。創業者ウィリー・フェルバウムが、チャールズ＆レイ・イームズのデザインによる曲木、背面と座面を一体成型したシェル型の椅子をヨーロッパで製造販売する権利を得た57年から本格的な家具生産を始めた。67年、デザイナーのヴェルナー・パントンと４年間を費やした開発を経て発売した世界初の一体成型椅子「パントンチェア」は、ミッドセンチュリー・デザインを代表する名作のひとつに挙げられる。専門的な技術力と素材への探求力、人間工学に基づく設計を軸に現在でも多くのデザイナーと協業しており、そのすべてを同社の家具コレクションとともに「ヴィトラ・デザイン・ミュージアム」に収蔵し一般にも公開している。89年に完成した同美術館は、工場敷地内にフランク・Ｏ・ゲーリーが設計したもので、世界的に重要なデザイン・ミュージアムのひとつである。周囲にはザハ・ハディドの初建築となる消防署、安藤忠雄によるセミナーハウス、ジャン・プルーヴェのガソリンスタンドをはじめ世界的に活躍する建築家による名建築が建ち並び、「世界の建築ミュージアム」と称される「ヴィトラ・キャンパス」を形成している。また、2008年にはデザイナーのヘラ・ヨンゲリウスをディレクターに迎え、色彩と素材のパレットを「ヴィトラ・カラー＆マテリアルライブラリー」としてシステム化し、家具や照明製品と室内空間が調和する提案を継続している。