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EC(Electronic Commerce)

Electronic Commerce
更新日
2024年03月11日

商品やサービスの配分、受発注から決済にいたるまでのプロセスの一部または全部をインターネットなどの電子ネットワークを介した情報通信によって行なう取引の形態。電子商取引の意。略称はEC(Eコマース)。
 従来「電子商取引」という語は、企業間の電子データ取引や、銀行が行なう電子資金移動などの意味に限定して用いられていたが、インターネットの普及にともなって、企業対消費者間取引(B to C, Business to Consumer)、インターネットオークションのような消費者間取引(C to C, Consumer to Consumer)など、企業レベルにとどまらず、個人も参加したかたちで幅広く行なわれる電子ネットワーク上の取引全般を指すようになった。昨今では、とくに C to C の形態について言及されることが多く、パーソナル・ファブリケーションなどの隆盛にともなう少量多品種生産や、その消費者間での取引を促進している。元US版『WIRED』編集長のクリス・アンダーソンは、『ロングテール』(2006)、『フリー』(2009)、『MAKERS』(2012)などの著作のなかで、このような市場の変化を受けて、情報社会におけるモノの売り方、買い方、つくり方が大きく変化しつつあると指摘している。アメリカでは2005年に発足した大手ECサイト「Etsy(エッツィ)」が成功を収め、その後のECサイトの普及に先鞭をつけた。日本でもハンドメイド・手作りマーケット「tetote(テトテ)」や、同じくハンドメイド作品のマーケットプレイス「iichi(いいち)」、SNSの要素を取り入れた「Sumally(サマリー)」など、多くのECサイトが存在する。これらのサービスによって、アーティストやデザイナーは実店舗を運営したり、販売店の仲介することなく取引を行なうことが可能になり、生産者と消費者の垣根を超えた、より多様なビジネスモデルが普及しつつある。

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補足情報

参考文献

『ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』,クリス・アンダーソン(篠森ゆりこ訳),NHK出版,2009
『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』,クリス・アンダーソン(関美和訳),NHK出版,2012