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エングレーヴィング

Engraving
更新日
2024年03月11日

ビュラン(burin)と呼ばれる鋭利な刃物で直接銅版を彫って版を作る凹版技法のひとつ。1420年から30年頃にかけてドイツで生まれた、凹版の中で最古の技法。常に一定方向にしか彫り進めることのできないビュランで思い通りの線を作るには熟練が必要。彫った溝には金属のまくれが生じるが、これをスクレイパーで除去し、バーニッシャーで磨いて製版する。ビュランの線は通常始まりと終わりが細く、中ほどが太くなる。また線は明確で滑らか。民衆レベルで実践・享受される木版と対照的に、素材も高価で高い技術を要する金属版画は当初から王侯をはじめとする富裕層の鑑賞やコレクションのために制作された。代表的な作家はデューラー。19世紀初頭、銅よりも頑丈な鋼鉄を用いるスティール・エングレーヴィングの登場で大量印刷が可能となり、写真による複製が一般化するまでこの技法が盛んに使われた。この技法は現在でも紙幣や切手の図版作成に(エッチングとの併用が多いが)使用されている。

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参考文献

『版画事典』,室伏哲郎,東京書籍,1985
『改訂版 版画の技法と表現』,町田市立国際版画美術館編,町田市立国際版画美術館,1991
『ビュラン 彫刻銅版画』,M・テラポン、川合昭三訳,美術出版社,1974