オリジナル・プリント
- Original Print
- 更新日
- 2024年03月11日
写真家が自分の作品として認めたプリントのこと。写真家自身が認めたものであれば、本人以外がプリントしたものでもオリジナル・プリントと呼ぶ。例えばアンリ・カルティエ=ブレッソンの場合、プリントはプリンターのピエール・ガスマンが請け負って制作しており、ガスマンのプリントにカルティエ=ブレッソンがサインを入れたものが、オリジナル・プリントとして流通している。また、オリジナル・プリントのうち、元になるフィルムやデータが撮影されてから間もないうちに制作されたプリントは「ヴィンテージ・プリント」と呼ばれるのに対して、作家の没後に著作権者の許可を得て制作された、作家自身の意図に沿うようプリントされたプリントには「エステート・プリント」という呼び名が用いられる。1980年代以降、日本でも美術館に写真が収蔵されるようになり、写真専門のコマーシャル・ギャラリーも誕生したことから、オリジナル・プリントの制作に対する認識が高まった。年がたつにつれて作品としての価値が損なわれることがないよう、退色や変色を防ぐ処理を行なって作られたプリントを「アーカイヴァル・プリント」と呼び、プリント中に残留した薬品を除去する、銀ではなく、金やセレニウムを用いた印画を制作する、現像後のプリントを酸化や紫外線から守るケースに保存する、といった工夫が施されている。