『カイエ・ダール』
- Cahiers d'art
- 更新日
- 2024年03月11日
1926年にパリで発刊され、60年まで続いたフランスの「美術手帖」。ギリシャ出身の文筆家クリスチャン・ゼルヴォスを主幹として、ゼルヴォスの妻のイヴォンヌ・マリオンの助力により創刊された。原始美術や映画など多分野の動向が取り上げられたが、主に現代の美術と建築などの前衛芸術を積極的にプロモートするため、当時のさまざまな作品図版が掲載され、また多くの作家が論考を寄稿した。41年から43年の休刊期間を除いて毎年数冊刊行された定期刊行物であり、年度によって刊行数にバラツキがある。特にピカソが継続的に取り上げられたことで知られ、『カイエ・ダール』の編集体制とピカソとの密接な関係は、ゼルヴォスによるピカソのカタログ・レゾネの制作へと発展している。マティス、ブラック、レジェ、グリスなどの特集も組まれるなど、代表的な美術ジャーナリズムとして、近現代美術の評価基準を浸透させた。また、『カイエ・ダール』を通じてピカソやその周辺のヨーロッパのアヴァンギャルドたちの仕事に触れた作家も多く、結果として、第二次大戦以前の芸術がパリを中心とした動向であることを印象づけることになった。
補足情報
参考文献
Zervos et Cahiers d’art,sous la direction de Christian Derouet,Centre Pompidou,2011