画商/ギャラリスト
- Art Dealer(英), Marchand de Tableaux(仏)
- 更新日
- 2024年03月11日
一般的に画商とは主に絵画を取り扱う美術商を指し、ギャラリストとは展示スペースのある画廊(ギャラリー)を持つ美術商を指す。もともと、ヨーロッパにおける絵画の注文形式は、貴族や教会、大商人などの特定のパトロンから画家へのオーダーというかたちであったが、ブルジョワ階級の台頭に見られるように、一般民衆が経済的に力をもつようになると、美術品への需要もおのずと一般化し始めた。それにあわせて、画商の活躍の場も増えることとなる。そのはじまりは17世紀半ばのオランダとされている。フランスでも18世紀頃には画商業を副業として兼任する商人が現われ、19世紀の早い時期には、専業の画商が登場している。19世紀になると画商の役割はますます広がりを見せ、印象派やポスト印象派の画家たちをあらゆる側面から援助し、彼らを世間に認めさせるため奔走したポール・デュラン=リュエルやアンブロワーズ・ヴォラール、ポール・ギヨームのような画商が登場した。彼らの活動は、若手の画家たちを当時の社会に認めさせる一助となるだけではなく、美術史上重要な資料を提示し、また美術館に収められているコレクション形成の一翼を担ってもいるという意味で極めて重要である。このような役割は現在にも受け継がれており、画商というのはただ美術作品を販売するのではなく、作家を育て、新しい美術作品を発信する存在となっている。現代では、自らの画廊における展覧会だけでなく、多くのギャラリストが一堂に会するアートフェアなどを通じて、広く作家・作品を知らしめるべく活動している。