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キャンプ

Camp
更新日
2024年03月11日

フランス語の動詞「仰々しく挑発的な振る舞いをするse camper」に由来する言葉であり、20世紀初頭にはすでに「キャンプcamp」という英単語の用例が確認されている。今日では、スーザン・ソンタグが「《キャンプ》についてのノート」(1964)で提唱した審美的様式として主に知られている。
ソンタグにおいて、「キャンプ」は「感覚の自然なあり方」よりも「不自然なもの、人工的なもの、誇張されたもの」を愛好する感受性として定義されている。とはいえ、「《キャンプ》についてのノート」で挙げられる作品の例は多岐にわたっており、マニエリスムの絵画やオスカー・ワイルドの小説を筆頭として、ティファニーのランプ、ヴィスコンティの演出、(欲望を離れて見た)ポルノ映画など、その対象が属するジャンルや時代はけっして一様ではない。ソンタグは「不真面目さ」や「異常な試み」といった言葉によって「キャンプ」を説明しているが、そこで必ずしも首尾一貫した定義が与えられているわけではない。むしろ「キャンプ」の特徴は、良し悪しを問題とした通常の審美的基準に対して別の判断基準を提供するという点、美を基準とするのではないような仕方で世界を審美的に経験する態度であるという点にある。この言葉は、1970年代頃までは美術批評の用語として一定の位置を占めていたものの、その定義の曖昧さもあって今日ではほとんど耳にすることはなくなった。

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参考文献

『反解釈』,スーザン・ソンタグ(高橋康也ほか訳),ちくま学芸文庫,1996