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キュレーター/学芸員

curator
更新日
2024年03月11日

「学芸員」は、1951年の博物館法制定とともにcuratorの翻訳として生まれた語。学芸員資格を持ち、資料収集、保管、展示、調査研究など博物館運営全般に携わる専門職員とされる。資格は試験認定もあるが、大学で所定の単位修得と実習を経れば取得可能。有資格者が多い反面募集数が極めて少なく、また資格内容の専門性が低く実践面での有効性を欠くなど制度は大きな問題を抱えている。他方「キュレーター」は上記の通り本来「学芸員」の原語だが双方の実状は異なり、職能を専門分化する欧米のミュージアムでは企画監督を司る者をcuratorと呼ぶ。職能は重なるが、所属する組織体系が異なる以上、日本の学芸員と欧米の curator を同列に語ることは難しい。「キュレーター」の語が日本で多用され始めるのは90年代に入ってからで、国際展をはじめ所属館外におけるフリーランス、インディペンデントのキュレーターの活躍の増加を背景としている。この流れから登場した20世紀のキュレーターの代表者は、ドクメンタとヴェネチア・ビエンナーレの総合監督を初めてともに務めたハラルド・ゼーマンである。なお「キュレーティング」「キュレーション」等の派生語も見られるが、curateの動詞用法は英語圏でも特殊。「キュレーション」は2010年頃からアメリカを中心に「選択」や「編集」に近い意味に抽象化・俗語化し、特に情報産業分野で新語として扱われるに至った。

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補足情報

参考文献

Harald Szeemann – with by through because towards despite: Catalogue of all Exhibitions 1957-2005,Springer Wien New York,2007
『キュレーターになる! アートを世に出す表現者』,住友文彦・保坂健二朗,フィルムアート社,2009
『キュレーション「現代アート」をつくったキュレーターたち』,ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、村上華子訳,フィルムアート社,2013
『キュレーションの現在──アートが「世界」を問い直す』,フィルムアート社,2015
Thinking Contemporary Curating,Terry Smith,Independent Curators International,2012
The culture of Curating and the Curating of Culture(s),Paul O’neill,The MIT Press,2012