景観条例
- Landscape Regulation
- 更新日
- 2024年03月11日
自治体が、街並み、生活アメニティ、地域経済といった、市民生活におけるあらゆる領域に総合的かつ地域多様性を反映させた内容を規定するために独自に設けるルール。憲法94条、地方自治法14条1項に規定される自治体の条例制定権を根拠とする条例、いわゆる「自主条例」のひとつであり、法令に反しない限り、自治体のもつ議会の議決によって定められる。一方で、都市計画法、文化財保護法、建築基準法、景観法など、景観に関わる個々の法令が自治体の条例に基準や手続き等を委ねることも多く、こうした法令との連携にも有効にはたらいている。初期に制定された「金沢市伝統環境保存条例」(1968年制定、現「金沢市における伝統環境の保存及び美しい景観の形成に関する条例」)は、奈良、京都、鎌倉を対象とした「古都保存法」(1966年施行)に匹敵するほどの内容をもつ自治体としての初めての条例であり、倉敷市(1968)、柳川市(1971)、高山市(1972)、萩市(1972)などがそれに続いた。京都市(1972年「京都市市街地景観条例」制定)は法定制度を中心に体系的に段階的な制度を築き、自主条例主導で制度を発展させた金沢市の例とは対照的である。1980年代には、神戸市(1978年「神戸市都市景観条例」制定)をモデルに、都市景観の積極的な創造を目的とした条例が全国的に展開される。今日では、初期に歴史的景観の保全や自然景観の保全を目的にしていた自治体の景観条例も改正を重ね、一般市街地の景観創造を含んだ総合性、地域的多様性、柔軟性のある内容となっているものが多い。
補足情報
参考文献
『大垣女子短期大学研究紀要 調査・研究編』34,「都市景観条例と地域開発 金沢市と函館市の場合」,佐藤延子,1993
『まちづくり教科書 第8巻 景観まちづくり』,日本建築学会編,丸善株式会社,2005
『都市計画別冊 都市計画論文集』42(3),「自治体における複合型景観整備システムの展開過程に関する研究 金沢市および京都市を事例として」,伊藤夏樹、小泉秀樹、大方潤一郎,2007