芸術写真
- Fine Art Photography
- 更新日
- 2024年03月11日
広義には芸術作品としての写真を指すが、日本では特に、1920年代から30年代にかけて展開された、日本におけるピクトリアリズムの動向を指す。その代表的な作家は福原信三であり、実弟の福原路草や大田黒元雄らと、21年に「冩眞藝術社」を結成し、同人誌『冩眞藝術』を発刊する。福原の写真に対する態度は、写真論『光と其諧調』(1923)として著わされ、当時の写真制作に影響を与えた。芸術写真では、空気遠近法を意識したソフトフォーカスや、ゴム印画法やブロムオイル印画法を用いた柔らかい調子、焼き付け時における画像のディフォルマシオンなどが好んで使用され、印象主義以降の近代絵画のスタイルを、いかにして写真によって表現するかが目指されたと言える。そのほか、芸術写真的表現に取り組んだ写真家としては、野島康三、淵上白陽らがいる。
補足情報
参考文献
『「芸術写真」とその時代』,飯沢耕太郎,筑摩書房,1986
『芸術写真の精華 日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展』,東京都歴史文化財団東京都写真美術館,2011