ゲシュタルト
- Gestalt
- 更新日
- 2024年03月11日
ドイツ語で「形」「形態」「形姿」などを意味する。心理学や美術の文脈ではしばしば「図」と「地」の関係における「図」に相当する。
ゲーテやマッハをはじめとして、「ゲシュタルトGestalt」をその類義語である「形式Form」や「形象Figur」から区別する議論は以前から存在していた。しかし、「ゲシュタルト」が専門用語として広く用いられはじめたのは、20世紀初頭にヴェルトハイマー(1880-1943)らによって創始されたゲシュタルト心理学以降のことである。ゲシュタルト心理学の立場によれば、人間の知覚は個別的な感覚刺激の総合からなるのではなく、個々の感覚を超えた全体的な枠組のもとに成立している。この際、まとまりをもった全体像として知覚されるのが「ゲシュタルト=図」であり、それ以外の周縁的な要素が「地」である。もちろん、有名な「ルビンの壺」に見られるように、これら「図」と「地」の関係は固定的なものではなく、「向かい合った顔」と「壺」がそれぞれ「図」と「地」の関係になることもあれば、その逆になることもある。上記のようなゲシュタルト心理学は、のちにアート・セラピーを含む心理療法などに応用されていくことになる。また、現代美術の文脈では、ミニマリズムやランドアートの作品にその理論的な影響が見られる。