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現代音楽

Contemporary Music/Modern Music
更新日
2024年03月11日

西洋芸術音楽が20世紀に示した展開。現代の音楽におけるさまざまなジャンルのひとつで、ヨーロッパ的な前衛音楽とアメリカ的な実験音楽という二つの傾向を持つ。第一次世界大戦以前のシェーンベルクら新ウィーン楽派や大戦間の新古典主義などを含める場合もあるが、それらはもはやある種の「クラシック音楽」とされる場合も多いため、本項目では言及しない。その起源は、1910年代に調性と楽音と規則的な拍節という三つの既成概念(約束事)が崩壊もしくは脆弱化したことに求められる。無調音楽(シェーンベルク)が調性を崩壊させ、リズムが複雑化し(ストラヴィンスキー)、「雑音」を用いた音楽作品が構想される(L・ルッソロ)ことで、西洋芸術音楽史は崩壊し、前衛音楽や実験音楽の登場につながった。「現代音楽」というレッテルはまるで「現代の音楽」すべてを代表するかのような印象を与える。しかし実際に「現代音楽」がある時代の音楽すべてを代表するような音楽だったことは、おそらくなかった。おそらく「現代音楽」というレッテルは、「1930-40年代からせいぜい70年代までの西洋芸術音楽」という歴史的にもジャンル的にも限定された領域の音楽のためのレッテルとして使うべきである。そのように考えるべき傍証として、多くの西洋音楽史はせいぜい20年代の新古典主義までしか記述しないこと、多くの現代音楽史は70年代以降の動向について記述しないこと、また、多くの現代音楽史は同時代のポピュラー音楽の動向を記述しない限定的な記述に留まっていること、などが挙げられるだろう。にもかかわらず、「現代音楽」には、モダニズム芸術として自己目的的に進化してきたという進歩史観的な自己認識が散見される。「現代音楽」とはあるジャンルのためのレッテルであることを再度強調しておきたい。

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参考文献

『新しい音楽 1945年以降の前衛』,R・スミス-ブリンドル(吉崎清富訳),アカデミア・ミュージック,1988
『現代音楽のパサージュ 20・5世紀の音楽(増補版)』,松平頼暁,青土社,1995
『日本戦後音楽史』 (上・下),日本戦後音楽史研究会編,平凡社,2000
『西洋音楽史』,岡田暁生,中央公論新社,2005
『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』, 「第11章 20世紀(1)」「第12章 20世紀(2)」,白石美雪,音楽之友社,1996